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経済成長目標を下方修正?=4・5%を2・7〜3%に=それでも中銀予想上回る=国税収入期待値割り込む

ニッケイ新聞 2012年7月12日付け

 政府の財政計画を担当する財務省と企画省が、今年の経済成長目標を従来の4・5%から2・7〜3%に下方修正する見込みと11日付エスタード紙が報じた。

 2・7〜3%という数値は、中央銀行が掲げる2・5%や市場関係者が予想する2・01%という数値を上回るが、これらの数字は、今後さらに下方修正される可能性を秘めている。
 財務省や企画省は税収の見積もりや予算支出のコントロールなどを担当しており、政財界を鼓舞する意味でも中銀より高めの目標を設定するのが常だが、その財務・企画両省が成長目標を下方修正するのは、従来目標としていた4・5%の成長達成は不可能と判断した事も意味する。
 修正された目標の発表は6月の国税収入などが発表される20日以降だが、国税収入は3月から3カ月連続で当初想定された目標額を下回っており、6月もその傾向が続く見込み。成長目標が引き下げられれば、実収と目標額の差も縮まる。
 8日付エスタード紙によれば、6月の国税収入概算に基づいて算定した国税収入額と目標額の差は、4カ月で約200億レアルと見られ、減収が続けば、政府支出の抑制や税収から支出額を引いた基礎収支を国内総生産(GDP)の3・1%にという目標引下げも余儀なくされる。
 現在の概算では、5〜6月の税収は目標額の1094億4400万レアルを約100億レアル下回る。3〜4月の収入は1142億5200万レアルで、目標の1258億レアルと115億レアルの差だから、4カ月では目標額を約200億レアル下回る見込みだ。
 税収が当初の予想を下回ったのは、景気刺激のための減免税や企業の利益が減った事などが原因で、減免税が8月末まで続く自動車の工業製品税(IPI)では、予想額を60%下回った。IPI以外では、法人所得税(IRPJ)や純益に対する社会納付金(CSLL)、社会保険融資納付金(Cofins)なども減っている。
 国税庁は、同庁が管轄する税金や納付金の6月の収入は5月の759億4500万レアルを僅かに上回ると見ているが、例年は税収が大きく伸びる6月の伸びが鈍い事は懸念材料だ。
 一方、工業界を刺激するために各省庁が66億レアルの物品購入と6月に発表した政府側は、景気後退を招きかねない公的支出の削減はなんとしても避けたいところ。増収のため、公的機関で新たな手数料などを徴収し始める可能性もある。
 もう一つ可能性があるのは、4・5%成長を前提に計上されたGDPの3・1%にあたる1398億レアル(国が970億、州と市が428億)という基礎収支の黒字目標の再設定。政府でもGDPの3%説が出たようだが、専門家からは、成長を1・5%と仮定したGDPの3・2%ではとの提案も出てきている。