ニッケイ新聞 2012年7月18日付け
1992年に弾劾の憂き目にあったコーロル元大統領の元夫人ロザーネさん(48)が15日グローボ局放送の「ファンタスチコ」で、前夫の大統領在任中に話題となった黒魔術の真相や弾劾当時のことなどを赤裸々に語った。16日付G1サイトが報じている。
コーロル氏は1989年、ブラジルでは29年ぶりの国民の直接投票による大統領選挙で、後に大統領となったルーラ候補を破って当選。コーロル氏は当時40歳、ロザーネさんは26歳で、最年少のブラジル大統領夫妻としても話題を呼んだ。
コーロル氏は、会計担当の選挙参謀で側近だったPCファリアス氏の収賄計画に絡んでいたとして告発され、92年9月29日に下院、同12月29日に上院で行われたブラジル史上初の大統領弾劾裁判で罷免された。
コーロル氏は2006年に上院議員に返り咲いたが、ロザーネさんは2005年に離婚。大統領夫人だった頃は豪勢な生活ぶりで話題を呼んでいたが、現在は福音派に転身し、慎ましい生活を送っている。
今回の「ファンタスチコ」のインタビューは大統領夫人だった頃を振り返った本の出版に合わせたもので、当時ささやかれていた様々な真相も明らかとなった。
まず、コーロル氏の実弟ペドロ氏によって暴露された自宅での黒魔術の儀式を、ロザーネさんは認めた。コーロル氏は結婚前から黒魔術にかかわっており、雌鳥や牛を殺して生贄(いけにえ)にし、白の礼服を着て地下室に1人でこもっては敵対する人物を呪っていたという。ロザーネさんが「コーロルの呪い」は効果があったというように、PCファリアス氏や同氏夫人のエルマさん、ペドロ氏は1996年までに亡くなった。
また、コーロル氏は92年に、ファリアス氏とは「ここ2年くらい会ってない」と発言したが、ロザーネさんは汚職が取り沙汰され始める前までは「毎週1回朝食を食べに来ていた」と証言。ファリアス氏は、当時ロザーネさんが代表を務めていた福祉団体LBAの役員に自分と関係のある人物を任命するよう無理強いしたという。
一方、弾劾裁判後しばらくは夫婦共に不眠症に陥り、コーロル氏が就寝中に起き上がってトイレに行くたびに、ロザーネさんは「自殺するのでは」と恐れて後を追ったともいう。コーロル氏も「自殺を考えたことがある」と認めている。
また、離婚後にコーロル氏がロザーネさんに払うことになった扶養義務額の残りは95万レアルで、ロザーネさんは月1万8千レアルを受け取っていることなども明かしている。ロザーネさんはコーロル氏のことを「私が人生で最も愛した人であり、かつもっとも失望した人」と語っている。