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若年の殺人犠牲者激増=30年間で376%も

ニッケイ新聞 2012年7月19日付け

 法務省が18日に発表した「2012年暴力白書—ブラジルの子供と10代の場合」によると、2010年の0〜19歳の殺人事件による死者は1980年より376%増えたと同日付フォーリャ紙が報じている。
 10年は0〜19歳の若者8686人が殺人事件の犠牲者となり、80年の376%増。同期間中の殺人事件による死者は全体で259%増だから、若年の犠牲者は大幅に増えている。人口10万人当たりの死者数は、3・1人が13・8人と346%増えた。
 これに伴い、殺人事件の犠牲者に占める若年の死者の割合も増え、80年の11%が10年には43%に急増。調査を担当した社会学者のジュリオ・ジャコボ・ヴァイセルフィスズ氏は「この上昇から見ると、政府は子供や10代は二の次、三の次にしている」と政府を批判した。
 また、人口10万人における0〜19歳の殺人事件による死者の割合が最も高かったのはアラゴアス州の34・8人で、以下エスピリトサント州(33・8人)、バイーア州(23・8人)と続く。少なかったのはピアウイ州(3・6人)、サンパウロ州(5・4人)、サンタカタリーナ州(6・4人)となっている。
 「以前は殺人事件が多発するのは大都市だったが、今は内陸部での事件が増えている。収入の分配が進めば人口移動も起きるのに、各州政府は変化にあわせた治安対策がとれずにいる」とヴァイセルフィスズ氏は分析している。なお、2000〜10年の殺人による若年の死者が最も減ったのはサンパウロ州で、75・8%減少。リオ・グランデ・ド・ノルテでは逆に388・5%増えた。
 一方、リオ州立大学のアルバ・ザルアール教授は「以前の調査では〃その他の暴力〃と登録されていたものが現在は殺人に登録されているので、データを鵜呑みにすることはできない」との見解を示している。