教育政策12年の成果は?=高卒で読み書き可35%=非識字者は減ったが=識字能力足りぬ学生4割
ニッケイ新聞 2012年7月20日付け
17日付エスタード紙やアジェンシア・ブラジルなどが、2001年と11年の識字能力の伸びは期待ほどではなく、読み書き計算に不自由がなく、読解力なども充分という人は26%との調査結果を報じた。
ある程度の読み書き計算が出来る人は61%から72%に増え、12年間の識字教育の成果が出たが、長文が理解でき、内容の説明や比較、数学の文章題を解く事も出来る位の識字能力者の割合は変わっていない。
パウロ・モンテネグロ研究所(IPM)と非政府団体(NGO)のアッソン・エドゥカチヴァが発表した機能的識字指数(Inaf)によると、長文読解力などもあり、識字能力が高いという人は26%で、高卒者でも35%。逆に、全員このレベルと期待された大学生の38%は、このレベルに達してなかった。
ブラジルの小中学生や高校生の学力が該当する学年のレベル以下との報告は毎年のように出ており、簡単な文章を読ませて誰が何をしたかを尋ねても答えられない、小学5年生になってもおつりの計算が出来ない、高校3年生でも小学校の計算問題に手を焼くなど、読み書き計算を機能的に使いこなせない事が多い。
15〜64歳の2千人を対象に行った11年の調査では、ごく簡単な文章の読み書きや計算も出来ない非識字者(文盲)は1%だったが、読み書きの基本的な力はあるが文法的な正確さや文体は水準以下の機能的非識字者が27%、読み書き計算の基礎は習得している基礎的識字者が45%、充分な識字能力者は26%だった。
本来は、中学卒業までに基礎的識字能力、高卒時には充分な識字能力をもつ事が期待されるが、この期待に応えた人の割合は35%、高等教育機関で学ぶ学生でも38%はこのレベルに達してないとの報告は、教育政策への懸念も呼び起こす。
というのは、これらの数字は、小中学校や高校での初等、中等教育が徹底してない事や、大学の乱立で学力のない学生も入学でき、高等教育機関の水準をおとしめている可能性を示すからだ。また、600万ともいわれる初等教育中退者への識字教育も課題となる。
また、家族収入が5最低賃金以上の場合は充分な識字能力ありが52%で、最低賃金一つ未満の場合は充分な識字能力ありが8%との報告は、収入によって教育レベルの差が出る事を意味し、公立校の教育改革が必要である事も示唆する。
識者の中には、ルーラ政権が採用した生活扶助(ボルサ・ファミリア)は、子供の識字能力の向上には余り繋がっておらず、低所得者達からの票集めの政策に過ぎなかったと批判する人もいる。また、現代の教科書は1970年代のものより内容が希薄で、読解力や思考力を高める要素に欠けるとの指摘も。情報化社会が読書を遠ざけたという声もあるが、識字能力がなければ、文学作品や論文はおろか、新聞、雑誌の読破も難しくなる。