携帯大手3社に厳罰措置=23日から新規利用停止=電波不通の苦情殺到により
ニッケイ新聞 2012年7月20日付け
電波がつながらないなどの利用者からの苦情が殺到したことにより、国家電気通信庁(ANATEL)がTIM、Oi、Claroの3社に対し携帯電話の販売の差し止めを決めた。19日付伯字紙が報じている。
この措置の実施は23日の0時からで、TIMが北東・南東伯を中心に最大の19州、Claroが北西伯や南大河州など5州、Oiがサンパウロ州、サンタカタリーナ州、セルジッペ州の3州で新しい携帯電話の回線販売ができなくなる。また、業界2〜4位の3社が携帯電話市場の70%を占めている事実を考慮し、現在3社の携帯電話を使用している利用者へのサービスは継続される。なお、業界1位で29・56%のシェアを占めるVivoや、セルコムテル、CTBCの携帯電話は今回の措置を免れた。
ANATELがこのような措置を取ったのは、2009年にテレフォニカ社にインターネットのブロードバンド利用差し止めを命じて以来だが、携帯電話を対象にこのような措置を取るのははじめてのことだ。「措置は非常に厳しいものだが、業界を整理するのは必要なことだ」とANATELのジョアン・レゼンデ会長は語っている。
ANATELが大鉈を振るう決断をしたのは、利用者からの不満も増大と、携帯電話利用者の飛躍的上昇に追いつけない携帯電話サービスの質の悪化が原因だ。
携帯電話の市場は年19%拡大し、2012年第1四半期には2億5500万の回線が利用されるまでになったが、回線の急増で携帯電話の専門筋が「ブラジルの携帯電話の接続レベルは米国の10分の1」と酷評するほど、回線がつながりにくくなるケースが増えている。2011年下半期の携帯電話に関する苦情は同年上半期の20%増となる48万7300件にまで達していた。また、TIMが携帯電話のチップを5レアル(クレジットカードだと10レアル)という安価で売り出したことで契約者獲得競争に拍車がかかったのもその一因となっており、レゼンテANATEL会長はこれに対し「競争加熱は歓迎だが、利用者が電話を使えるよう投資しないことには意味がない」と語っている。
TIM、Oi、Claroの3社は23日から30日の期間を設けてコールセンターを通じて状況回復のためのプランを説明することを義務付けられている。差し止めを解くには、携帯電話が問題なく使用できることを証明しなければならない。今回の措置を無視した場合は、1日につき20万レアルの罰金を科されることになっている。