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マラニョン州=救急患者を診療所が拒否=州と市の対立関係が背後に

ニッケイ新聞 2012年7月20日付け

 マラニョン州サンルイスで、市の管轄の救急車(Samu)で運ばれた患者が、州立の救急診療所(UPA)での診察を拒否される事態が起きていると19日付フォーリャ紙が報じている。
 6月には、肥満と高血圧、糖尿病を抱える女性が急な痛みを覚え、SamuでUPAに運ばれたが、軍警が仲介してくれるまでの1時間、院内に入ることさえできないという事態が起こった。同州のUPAは、車か徒歩で来た患者だけ受け付けるよう指示されている。
 保健省ではUPAはSamuと協力して医療を行うよう指導しており、高血圧や比較的軽いケガなら、UPAで投薬や検査、24時間以内の観察などを行い、救急病院などに送る必要の有無を決めるのが原則だ。
 ところが、サンルイス市内にある五つのUPAでは、Samuで来た患者の受け入れが禁じられており、UPAのそばで患者を置いてくるか、混雑していることを承知の上で市営の救急病院二つに連れて行かざるをえない。そもそもUPAが保健省によって作られたのは市営の救急病院の混雑を緩和するためであり、サンルイスでは全く逆のことが行われているということになる。
 州保健局は、Samuで運ばれる患者の受付拒否は、救急病院の管理が行き届かず余りにも混雑しているからで、状況が改善されるまで受付を拒否することは市も同意したというが、市はその発言を否定。
 検察は、UPAによる患者受け容れ拒否は市と州政府との政治的対立が原因と分析。民主社会党(PSDB)のジョアン・カステロ市長と民主運動党(PMDB)のロゼアナ・サルネイ州知事は政敵で、州保健局長のリカルド・ムラド氏は州知事の義弟にあたる。
 保健省は同市での救急医療の実態を重く見て調査中で、UPAへの連邦予算支出を停止する可能性も示唆した。