ニッケイ新聞 2012年7月24日付け
21日夕方、イタリアからやってきたばかりの26歳男性が、サンパウロ市南部イタイン・ビビで強盗に襲われ、死亡する事件があった。23日付伯字紙が報じている。
トマッソ・ロッソさんはブラジルに生活の拠点を置くべく20日にサンパウロ市に到着。21日は11年9月からサンパウロ市に住む友人のスペイン人弁護士と共に過ごし、夕方はその友人のホンダ・シヴィックを運転していた。
ところが、7月9日大通りとサンガブリエル大通りの交差点で一時停止した際、オートバイに乗った2人組の男がロットさんたちの乗っていた車の窓を武器で叩いた。男たちは金品をよこせと叫んだが、ポルトガル語を理解できないロットさんは自動車を渡せといわれていると思って車を降り、逃げようとした時、背後から胸部を拳銃で撃たれた。ロットさんは4km先の7月9日病院に運ばれたが、到着前に息を引き取った。友人も車を降りたが、射撃される前にバンカの後ろに隠れ、難を逃れた。
サンパウロ市のイタリア領事館のマルコ・レオーネ副領事は22日午後、イタリア北部に住むロットさんの遺族に事件について知らせた。遺族はロットさんの個人情報を詳細に流さないように懇願した。ロットさんの両親はロットさんの遺体と対面すべくブラジルに飛び、23日未明にグアルーリョス空港に到着した。ロットさんはすぐに就職するつもりで、23日に最初の面接が予定されていた。
イタイン・ビビは商店が多く、高級腕時計泥棒などが多発する地区として知られているが、強盗殺人が起きたのは2011年1月以来だった。
サンパウロ市での今年1〜5月の強盗殺人の犠牲者は47人で、11年の年間犠牲者数48人を上回る勢いだ。同時期のサンパウロ州の犠牲者は152人、昨年1年では160人だった。