ニッケイ新聞 2012年7月27日付け
州都第一コマンド(PCC)の非番警官襲撃なども続いたサンパウロ市では、6月の殺人事件が前年同月比47%、犠牲者は同54・4%増え、殺人多発地帯に逆戻りと26日付伯字紙が報じた。
殺人多発地帯か否かの判断は、人口10万人当たりの発生件数が10件を超えると多発とみなすという世界保健機構(WHO)の基準に基づくもので、6月の事件発生率は10万人当たり13件に達した。
1月と2月のサンパウロ市での殺人事件発生件数は84件と78件で、殺人多発とされる水準以下だったが、3月以降は、97、104、101、122と増加傾向にあり、上半期の総計586件は昨年同期比21・6%増。10万人当たりの発生率は10・3件で、犠牲者も21・2%増の622人となった。殺人は南部パルケ・サントアントニオ地区の29件など、郊外で多発している。
また、殺人増加に伴って殺人未遂も急増し、6月は昨年同月比89%増の144件を記録した。それ以外に増えたのは、強姦68%、強盗殺人50%、強盗9・4%、積荷強盗28%、自動車強盗5・7%、傷害7%で、減少は、銀行強盗53%や窃盗11%、車の持ち逃げ8・1%など。
6月に9件発生し、昨年同月比50%増と報告された強盗殺人は、上半期では55件で19・6%増だった。
22日付フォーリャ紙が、06〜10年にサンパウロ州軍警は米国警官の9倍も殺害と報じた、警官に抵抗して殺される事件は、6月に29件発生。昨年同月の63件と比べて54%減少したが、上半期は140件で、昨年同期比9・4%増だった。
6月の警官による死者減少は麻薬組織の摘発減少が原因と見られるが、出版関係の企業家が軍警に包囲されて射殺された7月18日の事件では、殺人容疑で逮捕された3人が容疑者を追跡、包囲する訓練を受けてなかった事が判明。事件翌日、軍警内で正しい包囲の仕方を指導するなど、警官を巡るトラブルは少なくない。25日付エスタード紙によれば、連邦検察庁がサンパウロ州の軍警幹部更迭を要請する可能性さえ出ているという。
サンパウロ州での犯罪発生状況は、サンパウロ市ほどではないがやはり悪化。上半期の殺人事件は、大都市周辺で13・5%増えた事もあり、州全体で8・3%増加。発生率は1999年の10万人当たり35・3件より72%減少したが、殺人多発とみなされる10件に逆戻り。犠牲者は9%増の2309人で、1日14・5人が殺された計算になる。
強盗殺人は6月に9・1%増えたが、上半期は1・7%減少。自動車強盗は上半期に19%、強盗事件は6%増えたが、誘拐は32・35%減の23件で、2002年以降最少だったという。