ニッケイ新聞 2012年7月28日付け
サンパウロ市北部のジャサナンで25日午後9時30分から翌26日午前1時30分のわずか4時間で7人が射殺されるという事件が起き、巡回機動隊(ROTA)との関係が疑われている。7日付伯字紙が報じている。
最初の事件は午後9時30分、モロ・ド・リヴラメント通りの洗車場で起きた。覆面の5人組みがオートバイと車で乗り込み、トランプで遊んでいた人々に発砲。洗車場主人のセーザル・コンセイソン・ロペスさん(44)と従業員のイザッケ・ペレイラ・リマさん(20)、近所のレオナルド・ペレイラ・オリヴェイラさん(17)は即死、ポテトフライを売り歩くデルシー・ギリェルモ・マルケスさんも26日に死亡した。4人には犯罪暦はなかった。
現場は、ROTAのアンデルソン・アンドラーデ・デ・サレスさんが23日に2発の銃弾を受けて重傷を負ったフロール・デ・オウロ通りから200メートルしか離れておらず、24日にROTAが麻薬取引に関与していないかを捜査した場所のひとつ。事件直前もROTAのパトカーが2度通り過ぎたという。
また、ジャサナンでは24日と25日、ROTAのパトカーが少なくとも6台巡回し、地域住民にサレスさん襲撃犯に関する聞き込み捜査を行った。住人たちはその際、ROTAから「夜8時以降出歩かないように」と指示されたという。
次の事件は26日午前1時過ぎ。最初の現場から1・5キロと離れていないアグアス・デ・シャペコ通りで、ダニエル・シウヴァ・デ・メロさん(21)が射殺された。現場は麻薬の密売拠点のひとつで、シウヴァさんには密売の犯罪歴があった。また、その約30分後には第2フローレス通りでイーゴル・ゴエスさんとルーカスさん(苗字不明)の2人の若者が殺された。
最後に殺された2人については、26日午後、事件が起きた通りでサッカーをしていた10歳以下の少年8人の証言がある。少年たちは2人の血染めのシャツをエスタード紙記者に見せたのち、「夜8時過ぎはROTAに殺されるから外にはいられない」と発言。兄弟が現場を目撃したという少年は、覆面をした男がオートバイで近づき、2人に「麻薬を捨てろ」と言った後、暴行を加え、射殺したという。これらの証言から、仲間を襲撃されたROTAによる報復説も疑われている。
一方、連邦検察庁のマテウス・バラウディ・マグナニ検察官は26日、警官による暴力に関する公聴会で、サンパウロ市西部で18日に起きた企業家のリカルド・プルデンテ・デ・アキノさん殺害など、軍警による事件が相次いでいるとして、サンパウロ州軍警のトップ交代を求める裁判を起こす可能性を示唆した。アウキミンサンパウロ州知事は「非常に場違いな判断だ」と反発、逆訴訟の可能性も口にした。