ニッケイ新聞 2012年7月31日付け
27日に開幕したロンドン五輪で28日、大会初日に金、銀、銅のメダルを各々一つずつ獲得というブラジル五輪史上初の快挙が起こった。29日付伯字紙が報じている。
ブラジル時間の28日12時15分頃、ブラジルにロンドン五輪の金メダル第1号をもたらしたのは柔道女子48キロ級のサラ・メネゼスだった。一本狙いではなく積極的に攻めて着実にポイントを重ねる戦術で勝ち上がって来たサラは、5戦目の決勝戦でもルーマニアのアリナ・トゥミトル相手に同じ戦術を貫き、積極果敢な試合展開で有効と技ありを奪い勝負を決めた。
サラの金は女子柔道初の快挙で、男子を含めても1988年のアウレリオ・ミゲル(95キロ級)、92年のロジェリオ・サンパイオ(65キロ級)に次ぐ3人目の金メダリストだ。また、女子個人競技での優勝も、北京五輪の走り幅跳びで優勝したマウレン・マギに次ぐ2人目。
サラは北京にも出場したが、初戦で敗退。今回は世界ランキング3位で臨み、メダルを期待されていたが、サラ自身が苦手とする優勝候補、日本の福見友子が準決勝でトゥミトルに敗戦したことも追い風となった。
サラの優勝に、サラの出身地、ピアウイ州テレジーナは沸いた。優勝の瞬間、サラの両親や関係者は彼女の名が冠された同市内の道場で喜びを爆発させお祭り状態に。本人も「この金メダルで私の人生は変わったけど、テレジーナで柔道の練習に励む人の人生も変わってほしい」と語った。
また、サラの金メダル獲得の1時間ほど前、柔道男子60キロ級でサンパウロ州出身の日系、フェリペ・キタダイが銅メダルに輝いた。今大会よりもリオ五輪での期待の星と目されていた若手のフェリペにとり、この日は23歳の誕生日でもあった。
また、この日は水泳でもブラジル勢が輝いた。北京五輪で8冠に輝き、今大会でも注目されるマイケル・フェルプス(米国)が出場した男子400メートル個人メドレーで、チアゴ・ペレイラが銀メダルを獲得。北京の200メートル個人メドレーで4位だったチアゴは、「もう4位は御免だと思っていた。僕はフェルプスや(優勝した)ロクテと同世代であることを誇りにしていたけど、彼らに勝つことはずっと目標だった」という。コリンチャンス水泳クラブ所属のチアゴは昨年11月、12年はフェルペスかロクテに勝つことが目標と発表。「サッカーはリベルタドーレス杯優勝、UFC(総合格闘技)ではアンデルソン・シウヴァがタイトルを防衛した。同じコリンチャンス代表としてぶざまな姿は見せられないよ」と語った。フェルプスを同種目4位に抑え、念願叶ったチアゴは200メートル個人メドレーでもメダルを目指す。