ニッケイ新聞 2012年8月2日付け
7月25日にはじまったトラック運転手のストは、7月31日の政府との話し合いで再交渉の場が確保されたため、同日をもって終了となった。混乱したヅットラ街道も1日朝には完全に封鎖が解除されたが、ストに伴う食料品や加工原料の滞留で大きな損害も出ている。1日付伯字紙が報じている。
25日からのストは、トラック運転手の勤務スケジュールなどを定めた新法(4月30日発表、7月30日施行)を不服とする全国トラック運転手統一運動(MUBC)が行っていたもので、一部の過激派メンバーにより、全国の主要街道の封鎖なども行われた。
新法では、4時間につき30分、24時間につき11時間休憩するよう定めているが、運転手たちは、街道沿いには休憩できる場所が少ないことや、休憩で失う労働時間を埋め合わせるための賃金の補填が不十分なことなどを不服としていた。
ストは妥結を見ないまま規模を拡大し、7月31日付エスタード紙の報道では、全国のMUBC組合員の75%が参加するに及んだ。全国の主要街道では、サンパウロ州〜リオを結ぶヅットラ街道が31日に35kmの渋滞を記録するなど、各地で混乱が生じた。
ピアウイとサンパウロ州のサンジョゼ・ドス・カンポスを結ぶ長距離バスが、通常48時間で到着のところに4日要したり、検査のために救急車でリオからサンパウロ州に向かった心臓病患者が2時間足止めを食ったのはその一例で、パラナ州では全車線を封鎖するなどの違法行為で運転手ら15人が身柄を拘束された。
事態を重く見たパウロ・セルジオ・パッソ運輸相は、7月31日にMUBCや全国自営運送業者連合(CNTA)の代表と8時間に渡る交渉を行い、ストの即刻停止と引き換えに、今月8日に新法で規制した内容についての交渉の場をもうけて、30日間以内に調整を行うことで妥結。MUBCのリーダー、ネーリオ・ボテーリョ氏は8月1日早朝までにはストを解除すると宣言した。
ヅットラ街道バーラ・マンサ地区を封鎖したグループなどは決定を不服とし、スト継続を宣言したが、1日朝6時前には全面解除。トラックや乗用車の集中で若干の渋滞は生じたが、徐々に平静化に向かっている。
また、スト期間中、交通を遮断されたことで農業や食品加工業などが打撃を受けた。サンパウロ州やミナス・ジェライス州、パラナ州で柑橘系果物が30〜40%値上がりしたほか、南大河州では700万リットルの牛乳の輸送が止められ、乳製品加工業者が560万レアル分の損害を被ったという。