ニッケイ新聞 2012年8月3日付け
ブラジルで大麻の常用者とみなされる人は130万人ほどであると2日付伯字紙が報じている。
サンパウロ連邦大学(Unifesp)は、今年の1月〜3月に全国149市の14歳以上の人4607人を対象に「第2回全国飲酒及び麻薬調査」を行い、その結果を1日に発表した。それによると「大麻を喫煙したことがある」は7%で、このパーセンテージを該当する年齢層の人口で換算すると、800万人に大麻喫煙経験があることになる。
また、昨年1年間に最低1回大麻を喫煙した人は全体の3%。昨年喫煙した体験がある人の割合を国際比較して見ると、カナダの14%を筆頭にニュージーランドやイタリア、英国、米国が10%台。欧州の平均は約5%だから、ブラジルの数字は決して高いものではない。
「大麻を毎日喫煙する」と答えた人は全体の1・5%で、これを該当年齢の人口に換算すると150万人。調査では「毎日喫煙する人」にさらに詳細な問いを行っており、「吸わないと落ち着かなくなる」「制御が利かなくなる」「喫煙する自分が不安になる」「喫煙をやめようとしたことがある」「大麻がないと困難だと思う」などの項目に「はい」と答え、常用者とみなされる人は全国で130万人ほどになるだろうとの結論付けた。
この調査では、大麻喫煙経験者800万人のうち、常用者とみなされるのが130万人ということになるが、これをパーセンテージになおすと、大麻喫煙が常用になる確率は約16%になる。調査に当たったクラリス・サンディ・マドゥルーガ調査員は「大麻を毎日喫煙しても、日常生活への影響は他の薬物より少ない」というが、「遺伝子がダメージを受ける可能性が強くなる」とも語っている。大麻には肥満防止や不安や欝(うつ)の解消、パーキンソン病の治療や筋肉痛の解消、嘔吐を抑える効果などがあるとされるが、パニック症状を引き起こし、注意力や記憶に害を与え、慢性気管支炎を誘発する危険性がある。肺にかかる負担は煙草の喫煙の4倍にあたる。
また、今回の調査では75%が「大麻を合法化すべきではない」と回答した。「合法化すべき」と考えている人は11%と多くはない。だが、Unifespのダルチ・シャヴィエル教授は「飲酒よりも依存症を起こす確率が低いのに、飲酒が合法で大麻が非合法なのはおかしい」と合法化を支持している。この問題に関しては、ウルグアイ政府も「麻薬密売を減らす」という目的で合法化を検討している。