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検察局が公園閉鎖要求=重金属などが土壌を汚染=サンパウロ市西部のL・V・ボアス

ニッケイ新聞 2012年8月11日付け

 サンパウロ州検察局が、サンパウロ市西部のレオポルディーナ・ヴィラス・ボアス公園では深刻な土壌汚染が確認され、利用者の健康を損なう可能性ありとして、司法当局に同公園の閉鎖を求めたと10日付エスタード紙が報じた。
 緑と環境局、環境浄化技術公社(Cetesb)の調査によると、同公園内では重金属と下水に混じる汚泥、発癌性物質による土壌汚染が起きており、ジョゼ・ドゥアルド・イスマエル環境担当検事が、土壌汚染の実態未確認のまま公園を開設したサンパウロ市市役所とサンパウロ州水道局(Sabesp)の責任を追求。サンパウロ市市役所とサンパウロ州水道局が開設から2年以上経った今も土地の浄化対策を採っていないため、市民の健康が確保されるまで公園を閉鎖するよう求めた。
 2010年1月開設の同公園は、1959〜89年にサンパウロ州水道局の下水処理場があった場所に造られた。処理場として使われなくなってから20年以上経つが、5万5千平方メートルの敷地内には、今も当時の施設や機材が残っている。
 置き去りにされた施設には深さ10メートル以上の沈殿池や、水を撥ね上げ、回転させる曝気・エアレーション用水槽などもあり、下水に混じっていた汚泥が底に沈殿、水草も繁殖している。これらの施設は網付の柵で区切られているだけだ。
 同公園の敷地はトラックや変圧器の修理工場として使われた事もあり、変圧器の修理で使ったポリ塩化ビフェニルによる土壌汚染も確認済み。ポリ塩化ビフェニルには強い発癌性があり、1981年に使用が禁止されている。また、ゴミ処理施設として使われていた区域では重金属による汚染も起きている。
 検察が集めた証言の中には、2010年10月に同公園でサッカーをした後、下痢や嘔吐、胃の不調などを覚え、3日間高熱に悩まされたという例や、芝生に座っていたら気分が悪くなったという例もあるという。
 同公園には、サッカー場の他、練習用のコートがサッカー3面とテニス1面もあり、格好の練習場として毎日利用する人もいう。その他の区域には子供用の遊具や身体運動用の道具、池などもあるが、建設は未完成で、過去を知るゆえか、近隣住民の利用は少ない。
 検察は昨年、市役所に土壌浄化と公園施設建設という2004年の公約の実施を求めたが、市役所側は最も危険度の高い地域は利用者から隔離されており、土壌浄化は施設の拡充にあわせて徐々に行うと答えるのみ。事態に進展が見られないため、検察は公園の即時閉鎖と不服従の場合は1日20万レアルの罰金を徴収するとの命令を下すよう、司法当局に訴えた。