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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年8月11日付け

 政治というものは机で立派なノートに書き連ねたようには粛々とは動かない。消費税の増税法案は、その典型であり、野田首相は政権の命運を懸けると力戦し、3党首合意まで漕ぎ着けたが、ここから先にはさっぱり進まない。自民が「解散」だけを叫び、10%増税に賛成しながら、今、採決となれば3党合意も破棄と駄々を捏ねる▼あの引退を表明した森元首相までが、この自民党の不可解な動きには呆れ果てて「谷垣君はおかしい」と語る始末だったが、それでも8日の3党の党首会談で首相が「(解散は)近いうちに」の玉虫色発言で事態を収拾し、昨日の10日に参院で増税案はやっと成立したのは、何ともおめでたい。だが—「近いうち」とは、何時のことなのか?政界にはいろんな噂ばかりが飛び交っている▼自民党にすれば、解散と総選挙は早い方がいい。もし—希望通りに今国会中ならば、9月に実施される総裁選挙で谷垣禎一氏の再選は確実だし、夢の総理大臣も実現する見通しが強くなる。一方の民主党は、一日でも遅らせ、総選挙は避けたいのが本音である。それほどに人気が低落し、今解散となれば議席は大幅に減るのは目に見えている▼小沢一郎氏らが離党し、国民の生活第1を旗揚げ、鳩山元首相も政府や執行部とははなはだ仲がよくない。と、党内融和を築き上げるのは大変に難しい。消費増税も、15%値上げの論も強く、これまた大議論が必須であり、野田政権は何とも苦しい。そんなところへ韓国の李大統領が竹島訪問の一大事が起き政府も国会も大騒ぎ。尖閣もあるし、とてもの程に安閑とはしていられない。(遯)