先住民は89万7千人=305部族に274言語=4割は居住区の外に住む
ニッケイ新聞 2012年8月15日付け
2010年の国勢調査を基に地理統計院(IBGE)が分析した結果、ブラジルには、305部族、89万6917人の先住民が住み、部族語は274と11日付伯字紙が報じた。先住民文化や生活の研究家も、225部族が180の言語を使用と見ていた事からいくと、部族数も言語数も従来の常識を覆す結果だ。
人口の0・47%に当たる先住民のうち、国が定めた先住民居住区に住んでいるのは57・7%の51万7383人で、居住区外で生活する先住民は42・3%相当の37万9534人。63・8%は農村部に、36・2%は市街地に住んでいるという。
2010年現在の先住民居住区は505カ所で国土の12・5%を占めているが、内291カ所は101〜1千人規模。ジウマ政権での制定された居住区は2カ所で、指定を待つ地区は100カ所以上残っている。
今回発表された先住民数は1991年の29万4100人より178%増えており、国勢調査の総括時に発表された87万7900人より7万8900人多い。これは、肌の色に関する聞き取り調査で白や黒、混血を意味する褐色(パルド)、黄と答えた人を生活習慣や伝統文化などを加味して再分析した結果だ。
先住民の文化や言語は居住区内の方が良く保たれており、自分の属する部族名を知っている人は89・5%、部族の言葉を話せる人は57・3%だったが、居住区外に住む先住民の場合、自分の属する部族名を知っているが55・2%、部族の言葉を話せるが12・7%に低下する。
地域別の先住民数最多は北伯の25万1891人で、73・5%が先住民居住区に住んでいる。以下、北東伯10万6142人(居住区在住45・8%)、中西伯10万4019人(同72・5%)、南伯3万9427人(同50・1%)、南東伯1万5904人(同16%)と続く。
最も大きな部族は4万6045人を要するチクナ族で、グアラニ・カイオワ族の4万3401人がそれに続くが、4万人以上2部族、3万人以上1部族、2万人以上5部族といった統計結果は、人口が1万人超の先住民居住区六つ、5001〜1万人の居住区12などの数字にも表れる。
部族語の約25%は話者が10人以下で、話者が50人以下の言語も50%近い。絶滅の危機にある文化や言語が相当数ある事も判明したが、居住区外に住む先住民の中に居住区指定を待っている人や将来は居住区に戻る事を考えている人がいる事は明るい材料だ。