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UNESP=日本語学科20周年祝う=記念学会に250人参加=生徒同士の交流も期待

ニッケイ新聞 2012年8月18日付け

 サンパウロ州立大学(UNESP)日本語学科は今年創立20周年を迎え、5月24、25日にアシス校で「創立20周年記念学会」を開催し、約250人の学生、研究者らが参加した。初日午前には記念式典も開催され、当時のカルロス・エリヴァニ・ファンチナチ学長のほか、同学科創立に尽力した大学関係者らが駆け付けた。

 記念式典では、同学科創立当初から20年教え続けてきた塩田セシリア教授が「重要なのは私たちの学科が日系社会と協力し、相互に助け合っていく事」と話し、「卒業生の活躍にはいつも元気をもらっている。この日を迎えるのが長年の夢でした」と感動を伝えた。
 アシス文協の斉藤訓会長(さとし)は「日系社会を代表し、日本語普及へのお礼を言いたい」とあいさつ。国際交流基金サンパウロ日本文化センターの深野昭所長も側面的なサポートを続けていく事を強調した。学科の歴史を振り返るビデオ上映、鏡割りが行われたほか、意氣和太鼓の演奏が披露された。
 同日本語学科は、サンパウロ大学、リオ連邦大学、ブラジリア大学に続き、ブラジル内の大学機関で4番目に開講された日本語学科。今までに400人以上の卒業生を輩出し、卒業生の中からは、4年前に開設されたパラナ連邦大学日本語学科の先生も多く出ている。
 現在、パラナ連邦大学で教鞭をとる非日系のルイス・ガルデナル准教授もUNESPの日本語学科出身、UNESPと提携がある天理大学への第一期留学生だった。「日本語学科の生徒同士で交流を深めて欲しい」と、今回は、同大学日本語学科の学生19人を引き連れて学会に参加した。
 一昨年度の留学生は、松田知恵美さん(23、三世)。東日本大震災発生時に日本にいた松田さんは「ブラジルにはない日本人の他人を思いやる連帯感、一体感を感じた。辛い時期だったが、日本の良い面も再発見できた」と体験を語った。
 また、式典に花を添えた意氣和太鼓も、UNESP日本語学科生によるグループ。学科卒業生でグァタパラ出身の藤山広美さん(23、二世)が指導にあたり、「自分たちで模索しながら発展させていきたい」と、盛り上げていた。
 学会では、日系アイデンティティーや日系文化、アニメ・オタク文化など様々なテーマが各地から訪れた大学教授によって議論されたほか、書道や折り紙のワークショップも開かれた。
 「毎年学生のやる気が上がってきている」と確信する塩田教授は「最近増え始めた中国語にも負けず、日本語の普及に努めていきたい」と、今後に向けて意気込んだ。(長村裕佳子通信員)