ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 連邦警察=麻薬対策で国境も越える=隣国での栽培地撲滅狙い

連邦警察=麻薬対策で国境も越える=隣国での栽培地撲滅狙い

ニッケイ新聞 2012年8月21日付け

 麻薬の取締り徹底のため、連邦警察がブラジルとの国境付近にある隣国の麻薬原料の栽培地撲滅を計画中と、20日付フォーリャ紙が報じている。
 連警が国境越えを行ったのは、コカインやクラックの原料であるコカの葉や大麻などの栽培が行われているペルーやパラグアイといった国だ。コカの栽培地は5年前から段々国境に近くなり、ブラジルに持ち込みやすくなっている。
 ブラジルは2008年からペルーとの間で国際麻薬売買に関する情報交換を行ってきたが、昨年はブラジルがペルー領内に入り、麻薬栽培地を撲滅させることを許可する協約が結ばれた。この協約は米国がコロンビア国内に立ち入って行っている麻薬対策にあやかり、「私たちのコロンビア・プラン」と呼ばれている。
 ペルー警察はこの事実を公にしたがらないが、8月にアマゾナス州での取締り作戦を実行した連警は、ペルー領内で700キロ以上の麻薬生産が可能な100ヘクタールほどのコカの畑を壊滅させた。作戦にはコロンビアやペルー、米国の麻薬取締局(DEA)も協力し、10カ所の麻薬精精所の爆破も行われた。ブラジルに入ってくるコカインの38%はペルーで生産されている。
 連警は、パラグアイとも同様の計画実施のための合意を得ており、次の目標はコロンビアとボリビアだ。ボリビアはブラジルに輸入されるコカインの54%を生産している。エヴォ・モラレス政権は国内でのDEAの活動を認めてないが、1月には米国も含めた3国が同国内の栽培地撲滅作戦を行うことで合意に達した。
 ブラジルは1万6800kmの国境に1400人の警察官を動員して麻薬対策を行っているが、この数は、米国がメキシコ国境に2万人以上の警察を配備しているのに比べると少ない。両国間の国境はブラジルとボリビアとの国境とほぼ同じ距離数だ。