ニッケイ新聞 2012年8月21日付け
本紙読者投票によって選ばれた不朽の名曲をコロニア選りすぐりの歌手が歌う『日本人の心の歌 東日本大震災孤児救済支援チャリティーショー』(高木ラウル実行委員長)が19日、文協大講堂で開かれた。12回目の開催となる今回のショーでは「遠い故郷永遠に…」をテーマに56曲が約7時間に渡って熱唱され、1千人を越す観衆を魅了した。ショーのDVDは80レアルで販売される。問い合わせはニッケイ新聞(11・3208・3977、マリア)まで。来場者の協力券、DVDの売り上げから復興支援金が日本に送られる。
楽団ザ・フレンズの「青い山脈」の演奏とともに幕を開けたショーの第一曲目は、読者投票で1位に輝いた「荒城の月」。7回以上の出演を誇るベテラン・喜納光枝さんがしっとりと歌い上げた。本来は美空ひばりが専門だという喜納さんは「重役を任されて、自分でいいのかなとも思ったけど、しっかり歌いきることができた」とほっとした表情で話した。
道康二、井川ルシアさんの司会コンビによる曲目紹介が楽曲に彩りを添える中、出演する歌手には若手の姿も目立った。日本の文化庁が選ぶ「日本の歌百選」にも選出されている名曲「お母さんの歌」を、雰囲気たっぷりに歌いきった渡辺ビビアンさんは日本語学校に通う14歳。歌詞の意味も理解し、「お母さんへの感謝の気持ちを込めて歌った」と流暢な日本語で話した。
「先月日本のテレビに出演し、5曲の歌を披露した」との紹介で大きな注目を集めたのが、9歳にして天才歌手との呼び声高い国吉メリッサさん。大きな拍手とともに登場し、小柳ルミ子の代表曲「瀬戸の花嫁」を披露した。
夫婦で鑑賞した森照美さん(79、二世)は「とても9歳の女の子が歌っているとは思えない。さすが天才と言われるだけある」と感心仕切りの様子。本人に感想を尋ねると「ステージに立つ前は少し緊張するけど、音楽が鳴り出せばもう平気。今日も凄く楽しめた」と笑顔で語った。
お昼休憩を挟み、およそ7時間に渡って繰り広げられた歌の祭典のフィナーレを飾った楽曲は、震災に見舞われた東北地方への応援ソングである「あや子のお国自慢だよ 〜がんばろな東北〜」(藤あや子)。大役に指名された原エライネさんを中心に、出演歌手全員が舞台に上がり大合唱。大きな拍手と指笛が鳴り響く大盛況の中ショーの幕は閉じた。
毎年参加し「最前列の真ん中のこの席が私の定位置なの」という小波津静子さん(79、沖縄)は「今年もとても楽しめた。来年が今から楽しみなくらい。こういう形でチャリティーに協力できるのは良いこと。東北の人たちの元気に少しでもつながれば」と満足げに話し会場を後にした。
ザ・フレンズのバンドマスターを務める蛯原忠男さんは「準備期間があまりとれなかった中で、メンバー皆本当に良くやってくれた。上出来です」と成功を祝った。