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サンパウロ市長選挙=ルッソマノがセーラをリード=政見放送では圧倒的不利=セ氏の約3割の持ち時間=ハダジ氏は急追なるか

ニッケイ新聞 2012年8月22日付け

 ダッタフォーリャによるサンパウロ市市長選アンケートで、セウソ・ルッソマノ候補(ブラジル共和党・PRB)の支持率がジョゼ・セーラ候補(民主社会党・PSDB)を抜いたが、21日からのTVでの選挙キャンペーンでのルッソマノ氏の持ち時間は少なく、今後の動向は予断を許さないものとなっている。21日付伯字紙が報じている。

 ダッタフォーリャが20日に発表したところによると、前回まで2位で、セーラ候補との差を詰めつつあったルッソマノ候補が31%の支持を獲得し1位に踊り出た。セーラ候補は27%の支持で2位に後退したが、同調査の誤差は3%ポイントとされ、同率。
 3位はフェルナンド・ハダジ候補(PT・労働者党)で8%、4位はガブリエル・シャリッタ候補(民主運動党・PMDB)で6%、5位はソニーニャ候補(PPS・社会大衆党)で5%、6位はパウリーニョ候補(民主労働党・PDT)で4%となっている。
 ルッソマノ氏の支持率の高さは「PSDB対PT」のイメージが強かったサンパウロ市市長選に一石を投じてはいるが、ルッソマノ氏がPSDBとPTの牙城を崩すのに大きな壁となって立ちはだかっているのが政見放送だ。
 政見放送は、サンパウロ市のみならず、ブラジル全体の選挙戦に強い影響を与えるもので、直前(今回の場合2010年)に行われた下院議員選での議席獲得数の比率で持ち時間が決まるため、各政党は放送時間確保のために立候補者を出さない政党の支持を取り付けることに躍起になる。PTが政治理念的に相容れないとされていたパウロ・マルフ氏の進歩党(PR)の支持を取り付けて物議を醸したのも、こうした事情が背景にあるからだ。
 サンパウロ市の場合、21日から10月4日までの1日30分の政見放送で最長の持ち時間を確保したのはセーラ氏とハダジ氏の各7分39秒。それに続くのがシャリッタ氏の4分22秒で、ルッソマノ氏はそれに続く2分11秒。つまり、ルッソマノ氏の持ち時間はセーラ氏とハダジ氏の3分の1以下、シャリッタ氏の半分しかない計算となる。
 これを週単位で見た場合、30秒のCMの放送本数は、セーラ氏とハダジ氏は107本ずつなのに、ルッソマノ氏は31本しかない。テレビ司会者出身のルッソマノ氏の知名度は今回調査でも94%と抜群だが、持ち時間の差は歴然としており、今回調査での知名度は64%だったハダジ氏が豊富な持ち時間によって知名度を上げてきたときも逃げ切れるかどうかが注目される。
 ルッソマノ氏が現在の支持率を保つには、同氏の基盤である宗教団体からの支持の維持と、PTなどのイメージダウンに繋がりそうなメンサロン事件の裁判の行方がカギとなりそうだ。調査では「メンサロン事件が市長選での支持者決定に影響する」と考えている人が過半数の51%いた。