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カボ・ブルーノが出所=50人以上殺害に脱獄3度=福音派に転じて模範囚に

ニッケイ新聞 2012年8月25日付け

 1980年代に国内では最大級の殺人犯として知られ、懲役120年の判決を受けたカボ(伍長)・ブルーノ(53)が23日、27年ぶりに釈放された。24日付伯字紙が報じている。
 カボ・ブルーノことフロリスヴァウド・デ・オリヴェイラは元軍警で、1980年前半、サンパウロ市南部を拠点とする殺し屋グループのリーダーとして君臨した。1983年9月に、サンパウロ市南部で多発する殺人に関与していた疑いで逮捕されて軍警を追放され、軍警の監獄に収監されたが、翌84年6月、女性看守に発砲し脱獄。逃亡中の84年8月にはTV、11月は雑誌のインタビューを受け、「50人以上殺したが、まだ殺し足りない」という発言を行った。
 その後85年3月に逃亡先のパラー州で再逮捕され、4月に6人の若者を殺害した罪で懲役43年の判決を受けた。だが、87年12月に2度目の脱獄を行い、翌88年5月にアララクアラで逮捕され、その後も90年7月に3度目の脱獄を行い、翌91年5月にサンパウロ市で4度目の逮捕。これにより刑期は117年に膨れ上がった。
 だが、最後の脱獄で逮捕された91年にキリスト教福音派の信者となり、そこからは急に模範囚に転じた。2002年にサンパウロ州トレメンベの刑務所に移され、他の囚人たちに聖書の教えを説いてきた。3年前からは刑務所内の菜園の世話をするかたわら絵も描き、絵の展示会も行っていた。2008年には刑務所内で、リオに本部のある福音派教会の信者で刑務所の囚人への伝道活動にも加わっていたダイセ・フランサさん(45)と結婚式を挙げた。
 2009年8月からは、日中は刑務所の外で仕事などが出来る〃セミアベルト〃の状態で残る刑期を過ごすことが認められていたが、23日の釈放は、2011年施行の赦免法の「15年ないしは20年模範囚として過ごし、赦免1年前の行いに問題がない」との条項に沿って決められた。カボ・ブルーノは12日の「父の日」前後の5日間の保釈が認められ、家族と共に過ごしたが、23日午後3時頃、正式に出所した。
 「〃カボ・ブルーノはもう死んだ。今生きているのは(本名の)フロリスヴァウド・デ・オリヴェイラだ〃と彼はよく言っていた」と担当弁護士のファビオ・トンダチ・フェレイラ・ジョルジさんは語っている。
 夫に近いところにいたいとサンパウロ州タウバテにある枝教会の伝道師になったダイセさんは、「夫のおかした罪は100年でも償えないが、神は夫に2度目のチャンスを与えてくださった」と語り、これからは夫婦で伝道活動ができると喜んでいる。

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