ニッケイ新聞 2012年8月29日付け
メンサロン事件の審議15日目の27日、6人目の最高裁判事が有罪か否かの投票を終えた時点でブラジル銀行からの金の横流しなどで被告4人を断罪と28日付伯字紙が報じた。元下院議長のジョアン・パウロ・クーニャ被告は本日の投票で有罪か無罪かが決まる。
事件から7年を経て始まったメンサロン事件は内容毎に七つのミニ裁判を繰り返す形がとられたが、6人の判事が票を投じた時点で、マルコス・ヴァレリオ被告ら4人の有罪がほぼ確定した。
最初に裁かれたのは、ヴァレリオ被告の会社との契約に便宜を図るための贈収賄と、ブラジル銀行とVisanetを巡る公金横領問題で、27日までに11人の判事中6人が票を投じた。
6人の判事が投票した時点で有罪が確定するのは全員が有罪と判断した時のみだが、他の判事の考えを聞いて投票内容を変える可能性もあるため、本当の意味で有罪か否かは全員が票を投じ終えるまで判らない。
とはいえ、途中で票を変える例はまれで、ヴァレリオ被告と仲間のラモン・オレルバッシ被告ならびにクリスチアノ・パス被告は贈賄と公金横領、ブラジル銀行元理事のエンリッケ・ピゾラト被告は収賄と資金浄化、公金横領で断罪されたといっても過言ではない。
一方、ヴァレリオ被告の会社が公共事業契約を結べるよう便宜を図ったとして起訴された元下院議長のクーニャ被告は、27日までに4人が有罪票を投じており、断罪まであと2票。薄氷を踏む状況だ。
このグループで唯一無罪となったのは、公金横領で起訴された労働者党(PT)元下議の具志堅ルイス被告。同被告の無罪は、検察庁特捜局が証拠不十分と認めた時点でほぼ確定していたが、同じくPTのクーニャ被告も無罪の判断したのは、リカルド・レワンドウスキー判事とディアス・トフォリ判事の2人だ。
メンサロン事件審議の責任者で報告役のジョアキン・バルボーザ判事が具志堅被告を除く5人を有罪とした後、クーニャ被告は無罪と投じたレワンドウスキー判事は起訴内容の見直し役。審議前からバルボーザ判事との確執が懸念されていた。
一方のトフォリ判事はPTの顧問弁護士なども務め、直前まで審議参加の可否が疑問視されていた人物で、今後審議される農村銀行を巡る汚職でもPT関係者は無罪と判断する可能性が取沙汰されている。ジウマ大統領が任命したローザ・ウエーベル、ルイス・フックスの両判事は共に5人は有罪と判断し、PT寄りに投ずるのではとの周囲の懸念を払拭した。
セーザル・ペルーゾ判事は29日の投票を最後に9月3日退任。アイレス・ブリット長官も11月に退任する中、次期最高裁長官のバルボーザ判事と同副長官のレワンドウスキー判事の確執はまだまだ続きそうだ。