ニッケイ新聞 2012年8月30日付け
ジウマ政権の看板政策でもある経済活性化計画(PAC)絡みの大型汚職に関与し、11年7月に更迭されたルイス・アントニオ・パゴット輸送インフラ局(Dnit)元総務理事が、28日のカショエイラ事件議会調査委員会(CPI)で、労働者党(PT)の要請でジウマ大統領の選挙資金を集めたと証言したと29日付伯字紙が報じた。
ルーラ政権時代の大型汚職であるメンサロン事件の最高裁裁判に注目が集まっているが、それと同時並行の形で連邦議会によって進められているカルリーニョ・カショエイラ容疑者絡みのCPIでも、汚職の実態などを解明するための証人喚問が正念場に入っている。
28日はDnit元理事のパゴット氏が召喚され、10年の大統領選の際、ジウマ陣営の会計役で現下議のジョゼ・デ・フィリッピ・ジュニオル氏から、中小企業40社を目処に選挙資金を集めるようと要請されたと証言。大手企業は選挙参謀が扱うから心配無用との指導もあったという。
パゴット氏が集めた額は550〜650万レアルに上り、倫理に反する行動をとった事を後悔しているとも発言。決選投票後にフィリッピ氏が来て、赤字補填のための献金を集めてくれと頼まれた時は断ったという。
フィリッピ氏は、選挙終了後ならパゴット氏の政治親のブライロ・マギ元マット・グロッソ州知事(現上議)傘下の企業に資金援助を頼んでくれと依頼したが、パゴット氏に企業献金を頼んだのは選挙期間中ではなく、選挙資金はすべて合法的と反論。1次投票前と決選投票後の2回会ったというパゴット氏の証言と矛盾している。
パゴット氏は、PTからサンタカタリーナ州知事選に出馬したイデリ・サウヴァッテ氏(現、大統領府政治調整担当長官)や民主運動党(PMDB)からミナス州知事選に出馬したエリオ・コスタ元通信大臣からも選挙資金捻出の依頼を受けたとも証言。イデリ氏は証言内容を否定したが、パゴット氏は必要なら対面証言にも応じる意向を表明した。コスタ氏は資金捻出を依頼した事は否定したが、パゴット氏と会った事があり、側近が協力を要請した可能性はあると発言している。
パゴット氏は、サンパウロ州の道路開発公社(DERSA)元理事パウロ・ヴィエイラ・デ・ソウザ氏が、契約金額を2億7千万レアル増額してくれと依頼してきた事にも言及したが、それが民主社会党(PSDB)の選挙資金拠出のためであったか否かは不明と証言した。
連警のモンテ・カルロ作戦で逮捕されたカショエイラ容疑者との癒着が疑われる建設大手Deltaについては、デモステネス・トレス元上議宅での夕食会でフェルナンド・カヴェンディシュ元社長を見た事があり、元上議はDeltaに便宜を図るべくロビー活動をしていたとも証言した。ソウザ、カヴェンディッシュ両氏への証人喚問は29日に行われる。