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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年9月5日付け

 今年も〃魔の9月〃がやってきた。リーマンショックが起きたのは08年9月、「魔の木曜日」といわれる1929年のニューヨーク証券取引所で株価が大暴落した時は10月24日、1987年に世界的株価大暴落を記録した「暗黒の月曜日」は10月19日だった。理由は不明だが、大経済変動は9、10月に起きやすいといわれる▼米国の投資信託は10月決算が多く、損益を確定するために9月から売りが増え、ヘッジファンドの決算も10月、11月が多いことからそれに拍車をかけ、危機の発端が拡大しやすいといわれるが、定説ではない▼昨年8月末のブラジル通貨政策委員会が、09年から上げ続けてきた経済基本金利(Selic)を突然切り下げた時、当初マスコミは理解できず批難した。統計数値からみる限りでは国内経済の成長は堅調であり今回も上げるのが当然とみなが考えていた▼ところがすぐに欧米経済が軟調になり、10月からギリシャ問題をきっかけとした欧州債務危機が再燃し、フランス・ベルギー系銀行デクシアの破綻・国有化に発展したことは記憶に新しい。同危機の直前に金利を下げて予防線を張った同委員会の情報収集能力と決断は賞賛された▼経済危機ではないが、01年9月には同時多発NYテロも起きた。ちなみに、それまで南米では「9・11」といえば、ピノチェト将軍が起こしたチリ軍事クーデターを示す言葉だったが、今ではすっかり入れ替わった▼今年11月には米国大統領選挙があるため、年内は悪い数字は出にくいとの憶測もあるが…。大変動がなければ良いがと心配するのは、コラム子だけではないだろう。(深)