ニッケイ新聞 2012年9月7日付け
ブラジルのコカインの摂取量が、米国に次ぐ世界第2位であることが判明した。6日付伯字紙が報じている。これはサンパウロ連邦大学(Unifesp)が5日に発表した、「ブラジルにおける酒と麻薬の調査」の結果から明らかとなった。この調査は全国149都市で、14歳以上の4607人を対象に行われた。
それによると、この12カ月間にコカインを使用した人は280万人に及ぶ計算となる。内訳を見ると、成人が260万人で10代が24万4千人。使用形態は鼻から吸引約253万人、クラックやOxiなどの摂取が118万人だった。
280万人という数字は米国の410万人に次ぐ世界2位で、他のラ米諸国の合計である240万人やアジア全体での230万人、中央アフリカの230万人を上回る。
また、「ブラジルではコカインが手に入りやすい」と考えている人は78%に及んだ。この結果に、「30年前、ブラジルにコカイン市場はなかったのに、今や最大の成長市場のひとつだ」と、調査にあたったロナウド・ラランジェイラ医師は嘆いている。ブラジルにコカインが入るようになったのは、コロンビアやボリビア、ペルーといった国が欧米諸国やアフリカに密輸する中継地として使われはじめたからだが、今やボリビアで生産される麻薬の60%がブラジル市場向けのものになっている。
また、ブラジルの場合、気になるのは近年の悪化状態がうかがえることだ。ブラジルで、この1年でコカインを使用した人の割合は100人に2人で、米国、カナダ、英国、イタリアなどとほぼ同じ数字だが、「一生のうちにコカインを使用した人」の割合が米国で100人中15人、カナダが11人、英国とイタリアが7人なのに対し、ブラジルは4人しかない。これは、ブラジルのコカイン使用者の半分がこの1年で使用しはじめたことを意味する。
また、この1年でコカインを使用した人の48%にあたる140万人が中毒者であるという。この数は大麻の130万人を上回る数字だ。また、27%が毎日、もしくは週に2回以上使用しているという。さらに気になることには、この中でコカインの使用をやめる意思のある人は30%いたが、実際にそれを行動に移した人は1%しかいなかった。また、最初に使ったのは18歳以下だった人が45%にのぼっている。
また、地区別に見ていくと、ブラジル全体において最もコカインの使用が多かったのは南東伯で、全体の46%を占める140万人。サンパウロ州の使用者は、全体の3分の1近くの94万2千人に上るという。続いて多いのは北東伯で全体の27%の80万人、以下、北伯と中西伯がそれぞれ10%の30万人で並び、南伯が7%の20万人となっている。