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カルモン監察官が退任=どうなる法曹界の自浄機能?

ニッケイ新聞 2012年9月7日付け

 「法衣を着た悪人がいる」との仲間の裁判官らを告発する発言で一躍有名になったエリアナ・カルモン国家監察官が、同職を任期満了で5日に退任した。法曹界に自浄作用をもたらすはずの国家司法審議会の役割を問い直す発言として、注目を浴びた監察官だった。
 カルモン判事が高等裁判事の代表として国家司法審議会(CNJ)のメンバーに任じられたのは2010年9月。全国の裁判所で働く判事の不正を調査して裁くという国家監察官の役職は、以前から法曹界内での風当たりが強かった。それに加え、彼女の「法衣を着た…」という発言後は、同審議会委員長だったセザル・ペルゾ元最高裁長官が審議会の権限自体について否定的な見解を表明し、一般社会にも様々な波紋を呼んでいた。
 その一方、不正があっても外から告発できない法曹界を浄化しようとする同判事の働きは、一部識者の間で高く評価されていた。5日付フォーリャ紙は同氏が「2年間、最高の任務につかせてもらった」と語ったと報じたが、彼女が退任した後も法曹界が自浄機能を保てる否か、今後の審議会の動向が気になるところだ。
 6日付エスタード紙は後任のフランシスコ・カンジド・デ・メロ・ファルコン高等裁判事へのインタビューを掲載。裁判官は特定政党に属さず、裁判を迅速に進めるべきとの意見と共に、ベロ・モンテのような公的な大事業を止めるべきではないとの見解も表明。今後の反応が注目される。
 後任はフランシスコ・ファルコン氏で「カルモン氏の方針を継承する」と表明している。

元検事の刑見直し判決も=弁護士「厳罰すぎる」

 養子縁組を考えていた2歳女児を虐待したヴェラ・ルシア・デ・サンチアナ・ゴメス元検事への刑が厳しすぎたのでは、と審議の見直しをリオ高等裁判所が決めたと6日付フォーリャ紙サイトは報じた。
 ゴメス被告が2歳女児に肉体的、精神的な苦痛を与えていた事が発覚したのは10年4月。同居生活が1カ月になると、幼女の髪を引張り、顔や体を叩き、蹴飛ばすなどの暴行に発展し、それを目の当たりにした家政婦は即座に暇を乞うた。
 検察による隠しカメラに録画された虐待の実態や両目が腫れ上がり紫になった幼女の写真は大きな反響を呼び、同年5月に被告は逮捕された。同年7月、治療費やカウンセリング費用などの支払いと8年2カ月の刑が言い渡されたが、被告弁護人が、検察局で25年働き、犯罪歴もない人間に6年を超える刑が言い渡された理由の説明を求めていた。
 元検事が犯したから事を重く見て重刑を科すのか——ここでも司法の見直しが迫られている。

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