ニッケイ新聞 2012年9月11日付け
サンパウロ市市長選の支持率で現在首位を独走中のセウソ・ルッソマノ候補が、自身が開設した非政府団体とウニベルサル教会を利用して選挙運動を行っていると9日付伯字紙が報じている。
9日付エスタード紙によると、ルッソマノ氏は街頭での選挙キャンペーン中、同氏と兄のモザルト氏が1995年に設立した消費者保護研究所(Inadec)の名刺を有権者に配って歩いているという。
エスタード紙があげた例によると、足に先天性の障害を持つ4歳の娘の診察予約さえ出来なかった女性は、8月24日に街頭でルッソマノ氏に助けを求め、「Inadecに連絡を」との言葉通り電話をかけたところ、きょう11日に救急診療所(AMA)でルッソマノ氏らが知っている医師の診察を受けられることになったという。
また、自宅前に2年間瓦礫を集積されていた52歳の主婦が苦情を訴えたところ、女性弁護士が誠意ある態度で応じ、解決に努めると約束したという。主婦に代わってInadecに赴いた夫は「心からルッソマノ氏に投票したいと思うし、周りにも薦めるつもりだ」と語っている。現在多くの市民がInadecの対応を待っているという。
Inadecの評判自体は決して悪いものではないが、検察の選挙対策局は3日から、ルッソマノ氏が票の獲得のためにInadecを不正利用していないかの調査を進めている。
また、9日付フォーリャ紙は、サンパウロ市南部サントアマーロのジョアン・ディアス通りにあるウニベルサル教会本部がルッソマノ氏の選挙キャンペーンに使われていることを、同氏のキャンペーン車が駐車場に出入りしていることをしめす写真つきで報道した。ルッソマノ氏は4日のサンパウロ市市長選候補者によるテレビ討論会で、同氏所属のブラジル共和党(PRB)は80%カトリックであると語り、同教会との深い関係を否定していた。
また、7日は約50人の選挙運動員が同教会にルッソマノ氏の旗などを持って戻ってきたところを取材。運動員の多くは青年で、同教会の青年会用の机を使ったりした上で、ルッソマノ氏の名前入りの旗と青年会担当で市議選に出馬する牧師の名前が書かれた旗などをキャンペーン車にしまった。運動員は1日7時間の選挙運動で、週150レアルを受け取る。ルッソマノ氏の選挙資金は130万レアルで、ハダジ候補の1650万レアル、セーラ候補の840万レアルに対して小額だと報じられている。
一方、セーラ候補が所属する民主社会党(PSDB)の重要人物であるフェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ元大統領は6日、市長選でルッソマノ氏がリードしているのは、「PSDBが長きにわたりサンパウロ市やサンパウロ州の政府の政権を握っていることや、労働者党(PT)との対立に有権者がうんざりしているのでは」との見解を示した。