惨劇を避けるために嘘=リオの学校校長が明かす=婦人の命奪った銃の主は?
ニッケイ新聞 2012年9月11日付け
リオ市北部で4日に起きた保健所での銃撃戦とバスのっとり事件で、コエーリョ・ネット地区にある学校の校長が、惨劇を避けるために警官に嘘をついたと7日付フォーリャ紙が報じた。
事件の発端はコスタ・バロス地区にあるファヴェーラ、ペドレイラの丘のそばで4日午後、マルチン・ルター・キング大通りを走るGol車から漂う大麻の匂いに気づいた軍警が、Golの追跡を始めた事だ。問題の車は盗難車で、2人組は逃走を試みたが、仲間の運転手が被弾したのを見た男は車を降り、コエーリョ・ネット地区の保健所に逃げ込んだ。
保健所は警察に囲まれ、犯人と警官の銃撃戦が始まったが、この時、10歳の娘を医者に診せるために保健所に来ていたクラウディア・ラゴ・デ・ソウザさん(33)が被弾。犯人は混乱に乗じて保健所の奥から逃げ出し、隣にある学校の生徒40人を乗せた遠足用のバスをのっとった。
犯人はバスの運転手にペドレイラの丘に向かうよう命じたが、成り行きを見ていた校長のルイーザ・マリア・カウデイラさんは、後を追ってきた警官に、バスはブラジル大通りに向かったと供述。犯人はペドレイラの丘でバスを降り、そのまま姿をくらました。
ルイーザさんは、犯人がバスをのっとる前に銃声を聞いており、子供達が新たな銃撃戦に巻き込まれて死傷する事がないよう、とっさに嘘をついたという。
教師として28年間の経歴を持つルイーザさんの脳裏をよぎったのは、ジャルジン・ボタニコで2000年に起きたバスジャックで2人の死者が出た事と、2008年に大サンパウロ市圏で起きた人質篭城事件で当時15歳だったエロア・ピメンテルさんが死亡した事だった。
2005年には当時23歳だった娘が勤め先で絞殺された経験も持つルイーザさんは、バスのっとり犯と警察が銃撃戦を展開すれば、子供達の命が危険にさらされ、我が子を失う痛みを味わう親も出かねないとを考えたという。
犯人と警察との銃撃戦は避けられ、子供達はけがもなく解放されたが、保健所で被弾したクラウディアさんは病院に運ばれて手術を受けたものの5日未明に死亡。警察ではクラウディアさんは人質とされた後に犯人に撃たれたというが、わき腹から入った弾は体内で拡散、骨や肉を砕いていたとされ、殺傷力の高い銃を使ったのが警官か犯人かを警察が調査中だ。
とっさの判断で嘘をついたルイーザさんについて、軍警は「惨事を避けえたのは確かかもしれないが、望ましい選択だったとはいえない」とコメントしている。