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メンサロン裁判=テオリー氏を最高裁判事へ=ルーラが拒み続けた男=ペルーゾ氏の補充として=ジウマ大統領が決断

ニッケイ新聞 2012年9月12日付け

 メンサロン事件裁判を担当する判事の一人、セーザル・ペルーゾ連邦最高裁(STF)判事が会期中に定年退職した。その補充としてジウマ大統領はテオリー・アルビーノ・ザヴァスキ高等裁判所(STJ)判事を指名すると発表した。三権分立のはずの司法に対し、ジウマ大統領が強い影響力を持つという印象を避けるために、迅速な新人事が行われた模様だと、11日付エスタード紙などが報じている。

 ジウマ大統領は10日、3日に定年退職を迎えたセーザル・ペルーゾ氏の後釜としてテオリー氏を指名した。同氏は引き受けることを明言し、現在、上院の人事承認の審議に入っている。
 このジウマ大統領の決定は、PT(労働者党)内で波紋を呼んだ。最高裁にテオリー氏を推す声はルーラ政権時代(2003〜10年)時代からすでにあったが、選ばれることはなかった。たとえば最近もルーラ前大統領の盟友アントニオ・パロッシ元内閣府長官の上告棄却判決を出すなど、親PTでないとみられている判事だからだ。
 「ルーラ氏がメンサロン事件の延期を私に迫った」と告発したジルマウ・メンデスSTF判事は、12年4月26日にネルソン・ジョビン議員宅で密談を行った際も、テオリー氏をメンサロン事件の判事に推薦しようとしたがルーラ氏は難色を示したという。
 ジウマ大統領がペルーゾ氏退任から1週間の早さでテオリー氏の指名に踏み切った背景には、判事数が偶数の10人となり、多数決で決まらない事態を避けたかったことに加え、後任判事を選ばないことで「政府やPTがメンサロン事件に強い影響力を持っているのではないか」という憶測を避けたかったからと見られている。
 テオリー氏が最高裁の判事になるためには、上院の憲法法務委員会(CCJ)の承認を受ける必要がある。同委員会のエウニシオ・オリヴェイラ委員長は10日、テオリー氏の審議は10月初旬から可能だという見解を示した。そこで仮に承認された場合、その時点から2〜3週間の据え置き期間が必要とされていることから、就任は11月に入ってからの見通し。「メンサロン審理にも加わる可能性もある」と指摘するメディアすらある。
 「もし彼が加わるなら、いいことだ。彼の能力は最高裁判事にふさわしい」とアイレス・ブリット最高裁長官は歓迎の言葉を伯字紙にのべている。だが、そうなった場合、ブリット長官も11月に定年を迎えるため、その時には、さらにもう一人の判事を選ばなくてはならなくなる。
 中立厳正な判事として名声を得ていたペルーゾ氏の後釜として、PTの息のかかっていない人物を指名することで、ジウマ大統領は独自の方針をさらに明確化しつつあるようだ。