ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 政府、電気代値下げ発表=一般家庭で平均16・2%減=社会政策への補助金財源は?

政府、電気代値下げ発表=一般家庭で平均16・2%減=社会政策への補助金財源は?

ニッケイ新聞 2012年9月13日付け

 【既報関連】ジウマ大統領が11日、新エネルギー法案を発表し、2013年2月5日から電気料金を下げる体系が整えられたと12日付エスタード紙、同日の「ジョルナル・ド・グローボ」などが報じた。ジウマ大統領は〃史上最高の大幅値下げ〃と位置づけ、政府は世界最高水準だった電気料金を下げることで製造コストを抑え、国際競争力の増強を期待している。
 先週、大統領が国民向けの演説で明らかにしたことに補足する形で発表され、下げ幅はそれぞれ一般家庭で平均16・2%、商業部門で約20%、産業部門で最大28%となっており、常に調整を行いながら値下げをしていくという。
 来年からの値下げを実行するためには、政府は電気料金にかかる諸税金をカットする必要がある。そのため、電気の通っていない地域へ電力を供給するルーラ政権時代からのプロジェクト「電気を皆に(Luz Para Todos)」などの社会政策への補助金は、税金財源を失うことになり、継続するには国庫からの持ち出しが必要になってくると同日付エスタード紙は報じた。その額は来年だけで46億レアルにも及ぶと見込まれている。
 ジウマ大統領は発表の際、「(自らが)ルーラ政権時代に鉱山動力大臣に就任したとき、この国は電力供給において深刻な問題を抱えていた」とした上で、この措置は国家戦略として必須と強調した。「(FHC政権時代にあった)8カ月間の電力供給のトラブルは、国民に多大な影響をもたらした」とものべた。
 既に発電所への投資を済ませている電力会社に対しては、発電所運営や維持のためのコスト負担の程度を考慮して、政府から補償金が給付される予定で、企業関係者は総額210億レアルになると見込んでいる。政府と電力会社が来年2月までに行う交渉には困難が予想されている。
 政府は臨時措置として、この値下げ実施のために電力会社の入札を30年後にまで引き延ばすことも決めた。だが、現行の法律に従えば今年に契約が切れ、入札を行なう必要があった。
 リオ連邦大学のエネルギー専門家、ニヴァルデ・デ・カストロ氏はグローボの取材に対して、ブラジルの電気料金は米国の3倍、中国の2倍と世界最高水準であるとした上で、「本来は入札によって電気料金が最も低くなるはず。ところが現実には、消費者や企業は最も高い料金を払わなければならないのは〃矛盾〃」とし、料金に上乗せされる税金の高さを指摘している。