ニッケイ新聞 2012年9月14日付け
サンパウロ市東部イタケーラ区のコリンチアンス新サッカー場「イタケロン」周辺の複合道路を建設する工事が、サンパウロ州政府の主導で12日に始まった。13日付アゴラ紙、オ・グローボ紙などが報じている。これらの工事が完成した暁には、東部地区全体の地価が上がるなど、都市再開発の端緒になると期待されている。
2014年W杯の開幕試合会場として予定され、建設が進む同スタジアム。この周辺地域(通称「フィエルゾン」)に道路を敷設することで、交通の便を改善することが目的だ。ほかにも歩道橋や道路の連結点を整えるなどの工事を行い、州政府は2014年3月の完成を目指している。
投資額は総計4億7820レアル。内訳は州から3億4590レ、市から1億3230レが支出される。4月にジェラルド・アウキミン州知事、ジルベルト・カサビ市長がこの金額を発表してから約5カ月後、ようやく着工となった。
建設工事では、スタジアムの南を走るイタケーラ大通りと北を走るジョゼ・ピニェイロ・ボルジェス大通りをつなぐ両側二車線の高架道をつくることで南北をつなぐ。
また、ミゲル・イナシオ・クーリ大通りからこの新道路に続く道が敷かれ、メトロとCPTMのコリンチアンス・イタケーラ駅前には、幹線道路のドトール・ルイス・アイレス大通りに6メートル幅の広い歩道が整えられる。
また、エンジェニェイロ・アルデヴァン・マシャード大通りとミゲル・イナシオ・クーリ大通りの環状交差点を造成する予定だ。
アウキミン州知事は地域に多大な利益をもたらすものとし、「工事は厳しい管理下で進める」と宣言している。
同知事によれば、国際サッカー連盟(FIFA)は1時間に6万人をスタジアムに移動させる交通インフラを要求しているといい、「この複合道路が完成すれば1時間に10万4千人を運ぶことが可能になり、(試合後は)観客全員が40分後にはスタジアムから出られる」と話している。
また、同地域には道路だけでなくショッピングセンター、サンパウロ技術大学(FATEC)、バスターミナル、コンベンションセンターなども建設し、2014年3月までに完成させる予定だという。W杯を機に、地域のインフラ全体を改善させる考えだ。
ブラジルサッカー連盟(CBF)のジョゼ・マリア・マリン会長は「州政府は必ずFIFAの要求に〃忠実に〃応えてくれ、期限内に仕事を終わらせてくれると確信している」とコメントしており、全幅の信頼を寄せていると強調した。
開幕試合でブラジルと対戦するチームは未定だが、試合日は6月12日の予定だ。