ブラジルの貿易は保護主義=米国がWTOに提訴か
ニッケイ新聞 2012年9月14日付け
米国政府がブラジルの貿易方針を「保護主義的である」として、来週にも世界貿易機関(WTO)に告発する意向であることが明らかとなった。13日付エスタード紙が報じている。
ブラジルは4日、メルコスール外からの輸入品100品目についての関税を引き上げることを発表した。この政策により、約12%の税率が約25%に引き上げられる。WTOが定める税率の上限は35%であり、これは決して違法ではないとはブラジル政府の認識だ。
だが、米国政府の通商に関する主要な大使マイケル・パンケ氏は世界の貿易状況の真逆を行くものとして批判している。パンケ氏によると、ブラジル政府がとった輸入関税引き上げは、貿易障壁を取り除いて行こうとするWTOのドーハ開発ラウンドに逆行し、開放を求める貿易市場やG20諸国との約束に反するものであるとしている。
米国は、ブラジルや亜国がとっている関税政策に他の新興諸国が倣うことを惧惧している。同氏は中国やメキシコ、ロシアに加え、ブラジルと亜国を除く南米諸国とは関税に関して良好な関係を築いていると強調している。
ブラジルはこの7月にも世界貿易研究機関から「2012年以降、世界で2番目の保護主義国」と指定され、国際商業会議所からも「G20諸国で最も閉鎖的な貿易をする国」と称されている。「世界の経済状況がいまだに悪いのはたしかだが、ブラジルの政策は状況を悪化させるだけだ」とパンケ氏は語り、米国政府がWTOに掛け合うことで国際機構ぐるみでの圧力をかけることを示唆している。
これに対し、WTOのブラジル代表のロベルト・アゼヴェド大使は「ブラジルは何の違反もおかしていない」と語り、他国にとって嬉しくない対策を行うことはどの国にだってあるという見解を示した。
なお米国自身も、ドーハ開発ラウンド締結を妨げる張本人だとして他国から批判されている。