ニッケイ新聞 2012年9月18日付け
ヴェージャ誌の最新号において、メンサロン事件の被告のひとりであるマルコス・ヴァレーリオ氏が友人に「メンサロン事件の主犯はルーラ前大統領である」と語ったと報じた。ルーラ前大統領はこれに対しノー・コメントで、PT陣営もルーラ氏の関与を否定しているが、サンパウロ市市長選のフェルナンド・ハダジ陣営はジョゼ・セーラ候補(PSDB)から予想される批判に備えることになりそうだ。
ヴァレーリオ氏はミナス・ジェライス州の企業家で、自身の企業DNAとSPM&Bがルーラル銀行とBMG銀行と結託して、ブラジル銀行の管理をかいくぐる形で金を横流し、メンサロン事件に絡んだとして起訴されている。これは2005年にロベルト・ジェフェルソン下院議員(PTB・ブラジル労働党)がメンサロン事件を告発した際、最初に告発された一件でもあった。
15日発売のヴェージャ誌によると、ヴァレーリオ氏は7日朝、知人に対し、「メンサロン事件の主犯はルーラだ」と語ったという。これまで明かさなかったのは、労働者党(PT)との間でルーラ前大統領について語らないことで、メンサロン事件の裁判での刑を軽くするとの密約を交わしたからだと言っていたという。ヴァレーリオ氏には公金横領で2〜12年、マネーロンダリングで3〜10年の懲役刑が予想されている。
またヴァレーリオ氏の知人は、メンサロン事件で起訴されている横領金額を誤りだとし、検察は1億4100万レアルとして告発したが、ヴァレーリオ氏はPTが横領したのはその倍以上の3億5千万レアルだったとする。さらに大統領府でメンサロン事件を命じたとされるジョゼ・ジルセウ被告と共に、ルーラ前大統領とも面会したこともあると語ったようだ。
ヴァレーリオ氏の友人はPTとの窓口となっていたのは、現ルーラ・インスティチュート代表の岡本パウロ氏だとし、契約上、多くを語れないということになっていたという。また、ヴァレーリオ氏の妻が、夫の釈放を求めて岡本氏にかけあった際に殴られたとも語っていたようだ。
ヴェージャ紙の報道に対し、ヴァレーリオ氏の弁護士マルセロ・レオナルド氏はフォーリャ紙16日付けに「本人はそのような話をしたこと自体を否定し、内容にも間違いがあるといっている」と代弁した。ジルセウ氏の弁護をつとめるジョゼ・ルイス・デ・オリヴェイラ・リマ氏は「18日からはじまるジルセウ氏の裁判にあわせてきたもので、ひどい内容だ」と語った。
メンサロン事件の調書を担当したマルコ・アウレーリオ判事は、「証言として使えるものではないが、判事の投票の参考材料にはなるだろう」との見解を示した。