全国の銀行がストライキ=給与調整求め18日から=選挙直前、他業種に拡大
ニッケイ新聞 2012年9月19日付け
全国の銀行員が給与の見直しを求め、18日から無期限のストライキに入った。同日付フォーリャ、エスタード、アゴラ各紙などが報じた。期してか期せずか不明だが、労働者組合が政治家に圧力をかけやすいのは「選挙直前」と言われており、ストの輪が広がるなど混乱が拡大しそうな雲行きだ。
銀行員らは10・25%増の給与調整(5%の実質昇給)を要求しており、雇用主側は6%増(0・58%のインフレ調整)を申し出たが、両者は合意することなくストに入った。組合はスト決行を先週の総会で決め、妥協案の提示期限を17日夜までに設定していた。
全国金融業界労働者連盟(Contraf)によれば、ストに入る地域や銀行名などの情報は公表できないという。
ストの間、窓口は閉鎖されるが、現金自動預け払い機やインターネットバンキングなどは通常通り機能する。
また、サンパウロ州の消費者保護センター(Procon=プロコン)によれば、スト期間中に支払期限の切れる請求書は自動的に無効とはならない。信販会社などは別の支払方法を消費者に提示すると考えられるため、「消費者はその情報入手に注意して」とプロコンが呼びかけている。
なお、今回職員側は昇給のほか利益分配(PLR)や最も低水準の給与の引き上げなども要求している。それに対し、銀行の雇用主側は、無謀な要求だと反論し、「〃危機的状況〃にある中、政策的な金利を引き下げのために増収は難しく、停滞した経済に経営を適応させる必要に迫られている」と指摘する。
全国銀行連盟(Fenaban)役員のマギヌス・リバス氏は「経済が不安定な中、彼らの要求は現実離れしている。合意の模索には、しかるべき注意を払う必要がある」と警告している。
それに対し、サンパウロ銀行労働者組合(CUT)のジュヴァンジア・モレイラ代表は、「雇用主らは、04年からインフレ調整した昇給を実施しているため、今年は大幅な給与調整ははできないと言っているが、ブラジルの銀行の収益率はとても高く、金利は世界一高い」と反論し、一歩も引かない構えだ。
銀行ストは2011年に21日間にわたって行われ、2004年以降最長を記録した。その結果、9%増の調整(1・5%インフラ調整)で雇用主側と合意した経緯がある。
同組合によれば、主要4銀行(イタウー・ウニバンコ、ブラジル銀行、ブラデスコ、サンタンデール)の役員に今年支払われたボーナスは、昨年比9・7%増だという。
また18日付フォーリャ、エスタード両紙によれば、給与調整を求めたストは銀行だけでなく、石油や化学品業界、郵便局などにも広がっており、各業界職員らは下期に入ってから実質昇給の実現に向けた交渉に入っている。
なお、サンパウロ州ABC地区の約4万6千人の金属加工労働者は、8%増の給与調整を求めて今日からストに入っている。