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13年5月に油田開発入札=要請に応え4年7カ月ぶり=業界圧力で〃前倒し〃発表か=分配金問題解決しないまま

ニッケイ新聞 2012年9月20日付け

 エジソン・ロボン鉱山動力相は18日、油田開発のための入札を13年5月に、中でも岩塩層下油田(=プレサル、超深海油田)の初入札を同年11月に行うと発表した。その前日、ラ米最大の燃料国際市の開幕式で、同相は「新たなプレサルの入札は行わない」と発表し、詰め掛けていた石油業界関係者を混乱の渦に巻き込んだばかりだった。19日付伯字紙が報じている。朝令暮改を地でいくような「作令翌改」はなぜ起きたのか。

 ロボン鉱山動力相は17日にブラジリアで「新たなプレサルの入札は行なわない」と発表したが、翌18日には「13年5月に陸海で合わせて174地区での油田開発の入札を行い、同年11月にプレサル入札を行なう」と発表し直した。
 政府主導の油田開発の入札は通算11回目で、130地区を対象に行なった前回の入札から、実に4年7カ月が経過している。
 17日に動力相の発表は、同日にリオで始まった燃料国際市「リオ・オイル&ガス」に集まっているラ米全体の石油業界代表らの度肝を抜いた。当日の会場には、ジウマ大統領やロボン鉱山相、フェルナンド・ピメンテル産業開発相、ペトロブラスのグラッサ・フォステル総裁らの出席がなかった。「業界では、政府の優柔不断が油田開発への外国勢を含めた投資意欲を減退させる」(19日付けエスタード紙)などと政府に圧力をかけた結果、翌日の「行う」発表になったようだ。
 19日付けフォーリャ紙の分析によれば、政府が最初「入札なし」と発表したのは、原油ロイヤリティ配分金がまだ決定されていないためだ。原油から上がる利益を採掘会社、ペトロブラス、連邦政府、州政府、市などにどう配分するかを定める法案がもめにもめていた。大金が動くことになるだけに様々な思わくが絡み、昨年ようやく上院を通過し、現在下院で審議されている政治的に神経質な状態にあるからだ、と見ている。
 本来は、下院での承認を経てから状況を固めてから正式に入札発表するはずだったが、リオに集まっていた石油業界の圧力におされ、しかたなく〃前倒し〃発表したのが真相のようだ。
 ブラジル石油院(IBP)のジョアン・カルロス・デ・ルカ氏は同国際市の会期中に鉱山省石油及びガス局のマルコ・アントニオ・マルチンス・アルメイダ局長と接触することが多かったが、「入札を行うとの発表の件は一切出ておらず、彼でさえも知らなかったはず」と語っている。
 しかし、デ・ルカ氏は「11回目の油田開発入札も必ずうまく行く。まだ投資も行なわれていないような地区に、多くの企業が殺到して激しい競争になるはずだ」との見解を示した。