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森林法が下院を再通過=自然再生とは逆方向とも=農業派議員が修正加え

ニッケイ新聞 2012年9月20日付け

 政府の意向に反した、植林義務を緩和する内容の森林法(Codigo Florestal)の改正暫定案を下院が18日に可決した。19日付フォーリャ、エスタード両紙が報じた。
 森林法は今年5月、下院が承認した案を上院が修正し、下院が再審議した上で承認するという紆余曲折を経た。ところが、その案を完全拒否するよう求める署名が約200万件に及ぶなど国民全体の関心が高まったのを受け、大統領が12項目に拒否権、32箇所に修正を加えるという条件を付けていた。
 これらの箇所は、6月下旬に開かれた「リオ+20(国連持続可能な開発会議)」後に上下両院で再審議されることになっていた。
 フォーリャ紙は「農業派議員のグループが大統領に挑戦した」という見出しで報じているが、下院で再承認された暫定案では、アマゾン川沿いで違法に伐採された地区の森林再生のルール(通常〃エスカジーニャ〃)に変更が加えられている。
 〃エスカジーニャ〃とはもともと政府側が決めたルールで、所有農地の面積に応じて違法伐採された土地の植林義務を与える、つまり所有する農地が広ければ広いほど、植林するべき土地の面積が広くなるというもの。
 それが、例えば15モジュールの農地所有者は4モジュールの農地にあたる面積の土地に植林義務が課せられるように、今回下院によって変更されている。つまり、中大規模農家が植林を義務付けられる面積が減ることになる。
 それに加え、15モジュールの農地所有者には川の両岸から30メートル以内に植林を義務付けていたが、20メートル以内に減らすなどの修正が加えられている。
 また、環境保護主義者が農薬を使用することから疑問を呈していた、果樹の植林を視野に入れる内容も盛り込まれているという。
 上院での審議は来週行われる見通しだが、下院で再承認した暫定案の有効期限は来月8日に切れる。それまでに上院で承認されなければまた下院へ差し戻しとなるが、〃エスカンジーニャ〃の修正には政府は当然賛同しておらず、修正された項目には再び大統領が拒否権を行使することが必至とみられている。