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ダッタフォーリャ=直前での急なハダジ離れ=PT支持地盤でも惨敗=セーラ陣営のCMが原因か=さらに盛り上がる〝舌戦〟

ニッケイ新聞 2012年9月21日付け

 選挙当日まであと3週間——ダッタフォーリャによる最新のサンパウロ市市長選候補別の支持率調査結果が発表され、1位のセウソ・ルッソマノ候補(ブラジル共和党・PRB)は支持率を上げて差を広げ、誤差範囲内で同率2位とされていたフェルナンド・ハダジ候補(労働者党・PT)が落ち、微増したジョゼ・セーラ候補(民主社会党・PSDB)との差が開いたと、20日付フォーリャ紙が報じている。マルタ元市長、ジウマ大統領などの応援演説参加で一気に支持率を上げるかとの推測もあったハダジ候補だが、むしろ息切れが始まったようだ。

 18〜19日にサンパウロ市の有権者1802人を対象に行なった今調査では、支持率1位はやはりルッソマノ候補で、前回より3%上昇して35%となった。8月から支持率が落ち込んでいたセーラ候補は1%あげて21%となり、逆に追い上げを見せていたハダジ氏は2%ポイント下がって15%となり、明暗を分けた。4位はガブリエル・シャリッタ候補(民主運動党・PMDB)で8%、5位はソニーニャ候補(社会大衆党・PPS)で4%だった。
 今回の調査で目立ったのは有権者の〃ハダジ離れ〃だ。支持率が落ちただけでなく、ハダジ氏は「票を投じたくない候補」で4%ポイント上昇して23%となった。
 また、地区別の支持率でもハダジ氏には苦しい結果が出た。サンパウロ市を6ブロックに区切って支持率を見た場合、南部こそセーラ氏が勝ったが、ルッソマノ氏は残りの5地区で1位を占めた。
 伝統的にPT支持と見られていた極南部と極東部で、ハダジ氏がルッソマノ氏に負けたことで票田の地殻変動が起きているとフォーリャ紙は分析している。極南部ではハダジ氏の19%に対しルッソマノ氏が37%、極東部ではハダジ氏16%に対しルッソマノ氏が46%と、全体の過半数近くの支持を得るに至っている。
 同紙はハダジ氏の支持率が下落した理由として、メンサロン事件の主犯ジョゼ・ジルセウ被告(PT)の公判がはじまったこと、セーラ陣営が仕掛けた反ハダジCMの影響が大きいと見ている。このCMは、ジルセウ被告ともうひとりの主犯デルービオ・ソアレス被告(元PT)に加え、数々の汚職で有名なパウロ・マルフ元市長の写真を使い、「もし、あなたが(ハダジ氏に)投票すると、この人が戻ってきます」というメッセージを流している。ハダジ陣営はこのCMを選挙法違反として選挙裁判所に訴えを起こしたが、却下されている。
 19日、ハダジ氏とルーラ前大統領は会議を行い、ハダジ氏の選挙戦略を変え、セーラ氏とルッソマノ氏への批判を強めていくことを決めたようだ。セーラ氏には2010年の大統領選でのPSDBの選挙違反を責め、18日の候補者討論会で攻撃を避けたルッソマノ氏に対しては、巨大なサンパウロ市を任せる政治家としての資質を問うという新戦略で票を奪う方針を練っているという。
 1位逃げ切りを狙うルッソマノ氏に対して、各陣営はどう出るのか。さらに〃舌戦〃が盛り上がりそうだ。