東ティモール=ブラジル人教員が続々と帰国=給与遅配で生活費不足に
ニッケイ新聞 2012年9月21日付け
東南アジアに位置するポルトガル語圏の東ティモールに赴任していたブラジルの教師たちが、給与支払いが滞ったことを理由に任期終了を待たずして続々と帰国していると20日付エスタード紙が報じている。
東ティモールは16世紀以来ポルトガルの植民地だったが、1975年にインドネシアに占領され、インドネシア語が教えられた。ところが02年に民主共和国として独立を果たし再びポルトガル語化を図ろうとしたが、インドネシア占領中の27年間にポ語話者が激減していた。そのため、同国はポ語教師をブラジルに求めていた。
この要請に応えたサンパウロ市のマッケンジー大学は、昨年末に東ティモール国立大学(UNTL)でポ語や生物学、化学を教える教員を募り、今年2月に30人ほどを派遣していた。
契約ではこの派遣教員は3500米ドルの月給を受け取ることになっていたが、最初の給料を受け取ったのは5月で、6月以来、再び支払いが滞っている状態だという。その間、派遣教員の中には生活費が底をついて帰伯を余儀なくされる人が相次ぎ、帰伯する航空旅券すら知人の助けがないと捻出できない人もいたほど。21日現在で6人が帰国した。
マッケンジー大学によれば、教員たちは契約書への署名が認められないまま30日で期限の切れる商用ビザで入国しており、契約が成立するまでに条件が二転三転したという。
また、最初の給与遅配に関しては、同国の法律では外国人教員に大学が直接給与を支払ってはならない規定があり、ポルトガル大学財団という財団を通して支払われるとの説明を同国立大学から受けたという。
だが、6月以降の支払いの遅れに関しては同国立大学から何も連絡を受けていないという。「学長に連絡を取ろうにも国外にいて取り合おうともしない」と教員のひとりは語っている。
この件はブラジル外務省にも伝えられているが、民間の契約なので外交上の問題はないとの見解を示している。