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凶悪殺人犯が宣教師に=「カボ・ブルーノ」が受洗

ニッケイ新聞 2012年9月25日付け

 8月に出所した、80年代に凶悪殺人犯カボ・ブルーノとして知られていたフロリスヴァウド・デ・オリヴェイラさんが23日、牧師としての洗礼式をサンパウロ州タウバテ市で行なった。24日付エスタード紙が報じている。
 1982年当時、軍警だったカボ・ブルーノは、「奴らは死ぬまで変わらない」とし、有名な「暗殺部隊」(esquadrao da morte)のボスとしてサンパウロ市南部などの青年犯罪者を次々に虐殺し、「ジュスチセイセロ」(法の裁きをへない報復殺人者)を気取っていたといわれる。
 当時「これまでに50人は殺した」と豪語したカボ・ブルーノは、80年代に最も恐れられる犯罪者だった。逮捕後の83年以降も、その後8年間のうちに3度も脱獄するなど問題囚でありつづけ、刑期も117年にまで膨れ上がっていた。
 そんな91年、カボ・ブルーノはタウバテ拘留所に収監されていたが、宣教師アライーデ・ペレイラさんとの出会いにより信仰に目覚めた。
 人生の転機だった。以来、「カボ・ブルーノは死んだ」として本名フロリスヴァウドを名乗って模範囚に転じ、刑務所内で改心した他の囚人たちと聖書の教えを勉強した。慰問で訪れたことをきっかけに宣教師ダイセさんと08年に結婚していた。そして2011年、「20年間、模範囚であった」ことを理由に赦免法が適用され、この8月23日に27年の刑期を終えて出所した。
 彼は今月23日、福音派の国際フォースクエア協会の宣教師になる洗礼式を受けた。儀式の場には、刑期の最後10年間を過ごしたトレメンべー監獄が選ばれ、10人を超す宣教師を前に2時間30分に及ぶ儀式が行われた。
 かつての野性味溢れる風貌とは別人の痩身で温和になったフロリスヴァウドさんは、「悪魔の魂を取り除き、光の王国に捧げることに命を注ぎます」と誓った。立ち会った恩師のアライーデさんは「息子同然に愛している」という彼の新たな人生のはじまりに涙した。
 フロリスヴァウドさんは妻がそれまで務めていた役職を引き継ぐことになるという。

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