ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | イギリスが経済交流に意欲=キャメロン首相が来伯=英国はより保護貿易主義?

イギリスが経済交流に意欲=キャメロン首相が来伯=英国はより保護貿易主義?

ニッケイ新聞 2012年9月29日付け

 現在ブラジルを訪れているデイビット・キャメロン英国首相が27日、サンパウロ工業連盟(Fiesp)でサンパウロ市の約50人の企業家らと会談し、今やイギリスを抜いて世界第6位の経済大国となったブラジルに対し、「今が2国間の貿易や投資を増やす最も良い時期」と、競争するというよりはむしろ協力関係を築きたいとの見解を示し、両国の経済交流の強化を促進したい考えを強調した。28日放送のグローボ「ボンジーア・ブラジル」、同日付エスタード紙、フォーリャ電子版などが報じた。
 ブラジルとイギリスのビジネス交流はこれまであまり活発に行われてこなかった。しかし、BBCブラジルによれば昨年、コンサルティング会社の「アーンスト・アンド・ヤング」の調査で、イギリスの諸企業はブラジルでの新しい45件のビジネスに投資を行うことを発表しており、その規模は米国に次いで2番目だ。
 金額にして120億2千万米ドルに上り、昨年のブラジルへの投資額は30億米ドルに過ぎなかったが、今後は本格的にブラジルに進出する兆しを見せている。
 ヨーロッパの金融危機を受け、複数の国が輸出を強化し、国内産業を保護する政策を取っているが、100品目の輸入税を引上げたブラジルは、米国から「保護貿易主義的」と批判されたばかりだった。
 イギリスにも少なからず影響を与えているに違いないブラジルのこの措置について、27日に行われた会談で同連盟のパウロ・スカフ会長は、「ブラジルは保護貿易主義国になろうとしているわけではなく、生産性を回復させるための政策を取っているだけ」と説明したが、同首相からそれに対するコメントや批判はなかった。
 しかし、同首相がブラジルへの出発前、ロンドンでフォーリャ紙がインタビューを行っており、27日付同紙には「国際市場での競争の中で、国内産業を孤立させ保護しようとする試みは国内企業には利益をもたらすかもしれないが、長期的にみたとき、本当の意味で競争力がある革新的な産業の基盤は作れない」という同首相のブラジル政府の政策に対する否定的な見方が報道されている。
 ただ、28日に放送されたTVグローボのボンジーア・ブラジルでは、「イギリスは欧州の金融危機を受け、ブラジルよりもより保護貿易主義的政策を取った」と報道している。
 同番組によれば、WTO(世界貿易機関)と世界銀行のデータでは2008年11月から、最も多く保護貿易主義的政策を取った国はロシア(173)に次いでイギリス(70)、中国(62)、ブラジル(56)、米国(30)と、イギリスはブラジルよりも上に位置するという。 なお同首相は27日、Fiespで会談した後リオ市を訪れ、エドアルド・パイス市長、セルジオ・カブラル州知事と面会し、同市のファベーラも訪れた。28日午後は、ブラジリアでジウマ大統領と首脳会談を行っている。