山本喜誉司賞=農業の貢献を称え5人に=19日、授賞式を文協で

ニッケイ新聞 2012年10月3日付け

 農業分野における功労者を称える『第42回山本喜誉司賞』の受賞者が決定し、案内のため近藤四郎選考委員長、藤井剛三選考委員、中島エドワルド文協事務局長が来社した。授賞式は19日午後7時から、文協ビル2階の貴賓室(Rua Sao Joaquim, 381)で行われる。式典後には食事会が催され、参加費60レアル。
 同賞は農学博士でブラジル日本文化福祉協会の創立者である山本氏の名を冠し、1965年にABETA(ブラジル農業技術研究会)によって創設された。
 今年は18人の候補者から5人が選出された。また、式ではトマト、レタス、ピーマンなどのブラジル向け品種改良を行ない、2003年に亡くなった永井洋さん(享年68、帰化人)にも感謝状が贈られる。受賞者と主な選考理由は次の通り(敬称略)。
◎中川ジュリオ(77、二世)=ボツカツ農科大学で学位を取得後、同大学で25年に渡ってバイオマス・エネルギー生産、野菜施肥法等を教育・指導し、ブラジル農業の発展に貢献。東京農工大学とボツカツ農科大学との協定の調整役も務めた。
◎白石一資(77、二世)=多角経営による経営の安定化をねらいとしてサンパウロ州奥地の暑い気候でも育つオクラ栽培に取り組み、サンパウロ州アラサツーバ地域の住民にそのノウハウを伝えることで、地域農業の発展に貢献。現在もノロエステ連合日伯文化協会会長として地域の農事部活動を奨励、農業技術の革新を図っている。
◎大田ジルベルト(52、三世)=サンパウロ州セッテ・バーラス市グァピルブ地区において、環境保全型農業を率先し、農業団体のリーダーとして地域を指導。市農政とも協力し、活動を展開する。
◎伊藤実(72、二世)=高品質な芝生産会社として有名なイトーグラス農牧会社の創立者。各地での芝生栽培によりブラジルの緑化、美化等に大きく貢献した。サンパウロ市のモルンビー球場、リオのマラカナン球場にも同社の芝生が使われた。
◎戸田まさのり(61、和歌山)=17年に渡り、パラナ州ロンドリーナ市の同じ土地で最高品質のマスクメロンを安定生産、農薬使用最小の安心生産で消費者に安全農作物を届ける持続的農業を実践しているほか、栽培技術の普及にも尽力した。
 問い合わせは文協(11・3208・1755)まで。