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やはり安いブラジル教員給与=先進国の10〜20%

ニッケイ新聞 2012年10月5日付け

 10月5日は「世界教師デー」だが、国連関連機関などの報告によるとブラジルの義務教育課程の公立学校教員給与は世界でも最低レベルであることがわかった。4日付エスタード紙が報じている。
 UBS銀行が2011年に世界73都市における公立の小・中学校教員の平均給与を調べたところ、サンパウロ市の教員給与は56位で、下位にはアフリカなどの発展途上国の都市名が並んでいる。
 サンパウロ市の教員の平均年収は1万600米ドルで、これは1位のルクセンブルク、2位のチューリッヒ(スイス)の10分の1以下、東京、ソウル、ニューヨークなどと比べても5分の1以下となっている。
 また、ブラジル内の他の業種と比べても教員の給与は少ない。2011年のブラジルの国民1人あたりの国内総生産(GDP)は1万1600米ドルだったが、教員の平均収入はこの額より1千米ドルも低かった。経済開発協力機構(OECD)によると、先進国の教員給与は国民の平均所得より17%高く、韓国のように平均より121%高い国もあるという。
 国際労働機関(ILO)のガイ・ライダー事務局長は3日、教員給与が低かった国に対し、「給与が低いと十分な学力を持つ人が教員になろうとせず、教育レベルの向上も望めない」と警鐘を鳴らし、「各国政府も教育は経済発展のための柱であることを認識しなければならない」と主張した。
 ブラジル政府はこの1月、公立学校の教員の初任給を1187レアルから1450レアルに引き上げたが、現在も、15の州ではこの基準が遵守されていないという。
 ブラジルの名コメディアン、シコ・アニージオの古くからの芸に「先生の給料これだけ」と指で示すポーズがあるが、その状況は現在でも続いているようだ。

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