ニッケイ新聞 2012年10月6日付け
【既報関連】メンサロン事件の贈賄関連の審理が3日から始まり、ルーラ政権の官房長官だったジョゼ・ジルセウ被告や労働者党(PT)元党首のジョゼ・ジェノイノ被告らも有罪となる可能性が強まったと、4、5日付伯字紙が報じた。
メンサロン事件で贈賄に関与したとされている被告は10人で、4日までに票を投じた4人の判事中3〜4人が8人に有罪との票を投じた。
最初に票を投じた上程役のジョアキン・バルボーザ判事は検察側の主張の大半を認め、首謀者はジルセウ被告で、ジェノイノ被告とPT元会計のデルビオ・ソアレス被告、企業家のマルコス・ヴァレリオ被告とその関係者4人の計8人は有罪と判断したが、校正役のリカルド・レワンドウスキー判事は、ジルセウ、ジェノイノの両人は関与を示す物的証拠がないとし、ソアレス被告ら5人のみを有罪とした。
レワンドウスキー判事は、ジルセウ、ジェノイノの両被告を免罪と判断した理由の一つに、状況証拠に頼れば冤罪事件が起きる可能性がある事を挙げ、状況証拠は戦争時など限られた状況下で適用されるべきものと主張した。この主張に反論したり疑問を呈したりしたのは、アイレス・ブリット長官やセウソ・デ・メロ、マルコ・アルレリオ・メロ、ジウマル・メンデスの各判事だ。
アイレス・ブリット長官は、この事件は〃ホワイトカラー(白い詰襟の服を着る頭脳労働者)による犯罪〃で、状況証拠は平和時にも適用しうると発言。セウソ・デ・メロ判事も、企業家だけではなく政府関係者も関わるという、新しい形の犯罪組織が形成されたとの見解を述べた。
マルコ・アウレリオ判事やメンデス判事は、農業銀行からの300万レアルという巨額融資の契約書はジェノイノ、ヴァレリオの両被告もサインしており、会計が単独で金を動かしたとは考え難い、収賄に問われた議員らは政府案に賛成票を投じたのではなかったかといった疑問を呈した。
最高裁では既に、メンサロン事件は議会工作のためと結論付けており、レワンドウスキー判事の後は、ローザ・ウェーベルとルイス・フックスの両判事が、状況証拠などからジルセウ、ジェノイノ両被告を含む8人は有罪との判断を下した。
第1次ルーラ政権で大統領に次ぐ座にいたジルセウ被告らが、銀行からの不正融資や公金横領で得た金を連立与党に分配する事でPT政権の議会運営を容易にしたというのが検察側の主張だが、レワンドウスキー判事の説に疑問や異論を唱えた判事はジルセウ被告を断罪すると見られ、9日から再開される審理で元官房長官ら断罪の気配が色濃くなってきている。