ニッケイ新聞 2012年10月12日付け
10日の中銀通貨政策委員会(Copom)が経済基本金利(Selic)を0・25%ポイント引下げ、年7・25%とする事を決めたと11日付伯字紙が報じた。
経済基本金利引下げは2011年8月以降10度目で、今回の下げ幅は最低。3月と4月は0・75%ポイント、他は5%ポイント引下げており、11年7月に12・5%に達した基本金利は累積5・25%ポイント引下げられた。
今回の引下げは委員会内で意見が割れ、アレッシャンドレ・トンビニ総裁ら5人が引下げを主張した一方、3人が据え置きを主張した。引下げが満場一致で決まらない事態は3月にも起きたが、この時は下げ幅についての意見の相違が原因で、据え置き論が出たのは今回が初めてだ。今回は委員会後の会見でも新たな引下げを匂わせる表現が消えており、基本金利引下げは打ち止めとの見方が広がっている。
と同時に広がっているのは、基本金利の引上げは当面見送られ、2013年中は金利据え置きという見方だ。中銀も「インフレ要因と国内の経済活動の回復、国際的な状況をかんがみ、必要かつ充分と思われる期間、金利を据え置く事がインフレを目標範囲内にとどめるための最善の策と理解している」との見解を示しており、ギド・マンテガ財相が13年中の基本金利引上げを否定していた事と線を一にする。
経済基本金利の引下げは、融資やローンの利用者はもちろん、投資ファンドや貯蓄預金の利用者にも気になる事柄で、大半の投資ファンドは、利息目減りで貯蓄預金(ポウパンサ)に取って代わられる可能性がより強くなった。
貯蓄預金の利率は、7月の改定以前のものなら月0・5%(年率6・17%)+参考金利率(ただし運用管理費徴収)、改定後のものも、月0・4138%(年5・08%)+参考金利(運用管理費は徴収せず)。投資ファンドで最も高率なのは、固定式で運用管理費が0・5〜1%のものの年5・25%だ。
ブラジルはインフレ率がまだ高いため、経済基本金利が7・25%でもインフレ調整後の実質金利は1・70%。それでも、中国の3・90%やチリの2・30%、オーストラリアの2・00%に次ぐ世界4位の高金利だ。
経済基本金利は、インフレ要因が大きい時は引上げられる一方、景気刺激が必要だと引下げられるという両刃の剣で、2008年末の国際的な金融危機勃発でリセッション(景気後退)に陥った時期は14%から9・25%に引下げられたが、国内景気回復後のインフレ再燃期には再び引上げられ、景気の減速化で再引下げというサイクルを繰り返している。