ニッケイ新聞 2012年10月12日付け
ブラジル日本都道府県人会連合会(園田昭憲会長)主催の『東北応援ツアー』が14日から始まる。東日本大震災被災地(岩手、宮城、福島)を訪問して支援を声明するほか、30日から東京で行われる『第53回海外日系人大会』にも参加する。また、被災3県の県庁に対し、若者を対象としたブラジルへの招聘事業を提案することも決定。来年の日本祭り開催時期に合わせ、約2週間のプログラムを想定していることを説明する。
県連関係者の話によれば、応援ツアーが企画された背景には「顔の見えない義援金」の存在があった。日系社会を中心に昨年はブラジルから総額6億円に上る義援金が、日本赤十字社を通して被災地に送られた。ところが、それがどう使われたかといった報告もなく、日本国内で当地からの義捐金が広く周知されることもなかった。
過去最多といわれる義捐金が集められたのは「心情的にも日本に寄り添いたい」という気持ちが強かったからであり、送金後の音沙汰が皆無であることに対し、義捐金を寄せた人々からある種の寂しさを伝える声が多くあった。そういったコロニアの心情を汲みとり、顔が見える形での当地からの応援の気持ちを伝えるツアーが企画され、6月から募集が行われてきた。
一行は岩手県釜石市、陸前高田市、宮城県女川町、石巻市、名取市、福島県いわき市などの被災地を訪問し、視察を行うほか、希望者は30〜11月1日に東京の憲政記念館などで開かれる『第53回海外日系人大会』にも参加する。
3県の県庁には義援金を持参するほか、先月23日に日語センターとの共催で開かれた『弁論・スピーチコンテスト』で被災した東北地方をテーマとした5人の作品の発表映像を届ける。
また、県連を中心とした日系3団体の幹部は、被災地に住む若者をブラジルに招待する事業計画の立案に合意し、応援ツアーが各県庁を訪問する時に、その草案を投げかけることも決まった。
両者の間で合意がなされれば、来年の日本祭りの開催時期に合わせ、被災3県から一人ずつ計3人を招待し、約2週間の交流プログラムを実施する。対象者や負担費用などの詳細については、各県の要望を考慮しながら柔軟に対応するという。
訪問団の団長を務める本橋幹久さん(県連副会長、鳥取県人会会長)は「日系社会を代表する気持ちで臨みたい」と意気込み、招聘事業についても「日本への恩返しの気持ちはもちろん、実際の体験を当地で直接話してもらうことに非常に大きな意味がある。積極的な投げかけができれば」とその意義を語った。
14日に団結式が開かれ深夜に出発、来月4日に帰伯する。