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キューバが国外渡航緩和=ラウル政権の自由化新政策=政治犯らへの規制は残る

ニッケイ新聞 2012年10月18日付け

 キューバ政府が17日、同国民の国外渡航規制を緩和することを発表した。これはキューバ革命後の53年の歴史における大きな前進のひとつと解釈されるが、政治犯やスポーツ選手などへの渡航規制は保たれたままであることなど、問題も残している。17日付伯字紙が報じている。
 キューバ政府は、国営新聞「グランマ」の17日付紙面で国外渡航に関する新たな法律を発表し、13年1月14日から施行するとした。
 それによると、これまでは国外渡航の際に必要だった「カルトン・ブランコ」という証明書を政府から取得する必要がなくなる。また、国外の滞在先を保証する滞在証明書(個人や団体からの招待状)の取り寄せや政府への提示も不要となる。国外での滞在期間も現状の最長11カ月が2年に延長され、更新することも可能となる。また、1961年に制定された、国外移住希望者の私財没収という法律も廃止されることになった。
 これは、2008年に兄のフィデル氏から国家評議会議長の座を引き継いだラウル・カストロ氏の新路線の一環だ。ラウル議長はこれまでも、農地の私有化、電化製品の自由販売や国民の観光客用ホテル利用認可、自営業開業認可、国民同士の自動車や家屋の売買自由化などの自由化政策を進めてきていた。
 だが、問題は依然残っている。新法の制定で、これまでは国外渡航に必要だった書類の発行経費(滞在証明書の190米ドルと「カルトン・ブランコ」の150米ドル)は免除されるものの、新しいパスポートの取得費用は現行の倍の100米ドルで、キューバ国民の月給の6〜8カ月分に相当する高さだ。
 また、新法23条と25条には「国家の保護と安全確保のために必要な場合は、パスポートの取得と国外渡航を禁じる」と記されており、政治犯や、経済や社会、科学技術の発展に必要でありながら亡命者も多い研究者や医師、スポーツ選手、様々な情報を持っている公的機関の職員などの国外渡航は従来通り困難と思われる。
 この条項は、米国が海路や陸路で密入国するキューバ人2万人にビザを支給し、ベネズエラなど他国で開業するキューバ人医師にビザ発行を認める特別プログラムも用意していることなどへの牽制と見られている。
 ブラジルとの関係では、訪伯を望み、ジウマ大統領の協力も仰いだジャーナリストのヨアニ・サンチェスさんが、キューバ政府に5年間で20回の許可申請を出して断られている例がある。現状ではジャーナリストの渡航に関する疑問が残っているが、本人は、新法制定の発表後「もう旅をする準備は出来ている」と楽観的なコメントをツィッターで流している。

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