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メンサロン裁判=「ジルセウは組織の首領」=ヴァレーリオらも共犯=判事の投票結果は6対4=全被告中25人有罪に

ニッケイ新聞 2012年10月24日付け

 最高裁でのメンサロン裁判39日目となった22日、メンサロンが組織ぐるみの計画犯罪であるか否かをめぐり、13人の被告に対する審理が行なわれ、ジョゼ・ジルセウ被告(労働者党・PT)ら10人に有罪判決が下った。これにより、同事件は正式に集団政治犯罪として認識されたことになる。23日付伯字紙が報じている。

 最高裁は22日、「メンサロン事件はジョゼ・ジルセウ被告をはじめとしたPTの要人3人が、企業家のマルコス・ヴァレーリオ・フェルナンデス・デ・ソウザ被告のグループや農業銀行幹部と組んで横領やマネー・ロンダリング(資金洗浄)を行い、毎月の贈賄を行なっていたもの」という検察側の報告を支持する判決を下した。
 この結果、ジルセウ被告、ジョゼ・ジェノイーノ被告、デルービオ・ソアレス被告のPT党員3人、ヴァレーリオ被告を含む企業家グループの5人、カチア・ラベロ被告をはじめとする農業銀行の幹部2人の計10人が有罪となった。農業銀行元副頭取のヴィニシウス・サマラネ被告は5対5で未決、ヴァレーリオ被告の秘書だったシモーネ・ヴァスコンセロ被告と農業銀行副頭取のアヤナ・テノーリオ被告は無罪となった。
 今回の10人の被告に対する投票結果は全て有罪6票、無罪4票で、評価は判事の間でも割れていた。有罪を唱えた判事のうち、ジョアキン・バルボーザ判事は「スーツやネクタイで身を固めた人たちによる組織犯罪は暴力犯罪よりも性質が悪い」と語り、セウソ・デ・メロ判事に至っては「私の約45年の裁判官人生でこれほど犯罪の組織性が際立った裁判に立ち会ったのは初めてだ。悪党たちは政治の品位を傷つけた」と強い語気で語った。アイレス・ブリット長官と、ルイス・フックス、ジルマル・メンデス、マルコ・アウレーリオ・メロの3判事も有罪票を投じた。
 その一方、かねてから同事件の「PTが政党の支持を取り付けるために行なった」という説に懐疑的だったリカルド・レワンドウスキー判事やジアス・トフォリ判事に加え、ローザ・ウェバー判事とカルメン・ルシア判事が「集団で組織した」という点に同意せず、無罪票を投じた。
 この日の判決で、37人の被告中、25人に対し有罪判決が下り、9人が無罪となったことになる。残る被告3人と、別件で有罪となったヴァルデマール・コスタ・ネット氏ら4人の計7人は5対5の同点で未決となっている罪状があるが、ブリット長官の見解では無罪とする方針だという。
 また、投票結果が6対4となったことで、ジルセウ被告らに「犯罪組織を形成した」件での上告は可能となった。ジルセウ被告は今回の裁判結果について「私は犯罪組織などつくっていない。これは民主主義の危機だ」と書面で訴えた。