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ユネスコ女性科学賞=南大河在住のマルシア氏に=家庭を持っても研究可能

ニッケイ新聞 2012年10月24日付け

 リオ・グランデ・ド・スル連邦大学ポルト・アレグレ校のマルシア・バルボーザ教授(52)が、物理化学の分野で目覚しい業績を上げた一人として評価され、ロレアル—ユネスコ女性科学賞を受賞したと23日付エスタード紙が報じた。
 同賞は、1998年にロレアルとユネスコが世界規模で女性科学者の地位向上を目指すために創設したもので、15周年となる今回の受賞者5人を加えると、72人の女性科学者が受賞。その中からは2人のノーベル賞受賞者も出ている。
 また、将来が期待される博士課程や博士研究員レベルの若手女性科学者を支援する「ロレアル—ユネスコ奨学金」では既に、1300人以上の女性科学者が表彰されているという。
 今回受賞したマルシア氏は、医師か技師になってくれればという家族の夢を振り切り、物理化学の道に進んだという経歴の持ち主で、自分が受賞した事は「科学者になっても、女性としてごく普通の生活を営み、家庭を築く事や、魅力的であり続ける事が出来る事を世の中の人に知ってもらう良い機会だ」と言う。
 この言葉は女性科学者への偏見がまだ根強い事を知る故のもので、女性が科学の道に進むと言うと気が違ったかのように言う人がいるが、「私達はキチガイではない」とも発言している。
 マルシア氏の研究テーマは「水の特性」で、ヒトの体の大部分を占め、地球上に大量にある水には60以上の変異性が認められると言う。
 車などは数が増えると動きが鈍るが、水の場合は、ある程度の温度の時に分子の数が増えるとその動きが一層早くなるのも変異性の一つで、この特性が人体の中でタンパク質の形成異常をきたすと、溶血性貧血や関節リューマチ、ギラン・バレー症候群などの自己免疫疾患を引き起こす。
 マルシア氏が発見した水の特性は地震の発生から自己免疫疾患に至るまでの種々の現象を説明できるとされ、その成果を高く評価した米国とブラジルの科学者がロ—ユネスコ賞に同氏を推薦した。
 軍の電気技師だった父親の傍らで幼い頃から機械の修理を手伝っていたというマルシア氏は、公立高校在籍中に科学に関心を持ち、現在は所属大学の物理研究所所長も務める重鎮。ロレアル—ユネスコ女性科学賞の賞金10万ドルの一部は研究資金につぎ込むという。外国の研究機関からの誘いを断ってきた理由を訊かれた同氏は、国民の税金で運営される公立校で学んできたのだから、国内で研究成果を挙げていくのが当然と答えた。

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