ニッケイ新聞 2012年10月24日付け
ブラジルナンバー1の芝生産のシェアを持つ「イトーグラス」の伊藤実さん。初めてアメリカに渡ったのは、ブラジル国際農友会からの派遣だったが、渡航を決意したのは農業技術の習得よりも「英語を話せるようになりたい」との思いからだったとか。現地でのホームステイ先の庭先で、絨毯のように整った芝を見て「これだ!」と思ったのが芝生栽培のきっかけだったという。米国で芝を見た日本人は山ほどいるが、そこから一財産を築く事業にさせた人は少ない。人生を左右するほどの出会いは、どこに転がっているかわからない?!
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訃報の小野敏郎さんは、当地在住時代に数々の芸能人を日本から呼んだことでも知られる。ムード歌謡の女王と呼ばれた松尾和子、ジャス・サックス奏者の渡辺貞夫、有名女優の中尾ミエ、タレントの永六輔など。帰国後もブラジルギター界の巨匠バーデン・パウエルを初めて日本に連れて行って公演させたという。日伯音楽界の交流を活性化させたその生涯は、愛娘リサさんの日本での高い評価に象徴されている。