サンパウロ市=繁華街にもクラコランジア=麻薬常習者が分散傾向に
ニッケイ新聞 2012年10月26日付け
サンパウロ市最大の繁華街であるパウリスタ大通り近くにミニクラコランジアが出現と、25日付エスタード紙が報じている。
問題のクラコランジアは、パウリスタ大通りから1区画離れたコンソラソン通りとドトール・アルナルド大通りを結ぶオクハラ・コウエイ高架橋下で、周辺の通りでは麻薬常習者が道行く人に金を求めているという。
現場近くで働く25歳の運転手によると、常習者の数は流動的で、毎日違う人が入れ代わり立ち代り、都市圏市民警備隊(GCM)が追い払ってもまた戻るのを繰り返しているという。
最近は近辺を利用する通行人や駐車してある車への窃盗が相次いで起きており、中には銃を持った常習者が見受けられることもあったという。近隣住民の中には、常習者との遭遇を恐れて家の行き帰りの道順を変える人も少なくなく、61歳の女性弁護士は「車で何度も往復して常習者がいないことを確認してからでないと怖くて家に入れない」と語っている。軍警は23日に地区住民らと対応法と解決策を模索するための会合を開いた。
同地区に常習者が集まるようになったのは、軍警が今年の1月に市中央部ルスのクラコランジアの取り締まりを始めたのと同じ頃からで、「常習者のケアをきちんとして来なかったツケだ」とサンパウロ市の麻薬対策の甘さを指摘する声がある。また、軍警がルスでの取り締まりを始めて以降、常習者が広範囲に拡散し、対策自体が難しくなったと指摘する声もある。
一方、リオ市でも24日、市北部のファヴェーラ・マンギーニョスやジャカレジーニョに警察が介入した10月以降にユニオン公園周辺に出来た新たなクラコランジアで、3度目となる取り締まりが行なわれた。
次々に出現するクラコランジアは、近年の麻薬問題の深刻化をうかがわせる。