ニッケイ新聞 2012年10月27日付け
ブラジルの20世紀を代表する歌手兼作曲家で「バイオンの王」と称されたルイス・ゴンザーガ(1912〜89年)の生誕100周年を記念した映画や演劇が話題となっている。26日付フォーリャ紙が報じている。
1912年にペルナンブーコ州で生まれたゴンザーガは、40年代にリオで独自の音楽活動をはじめた。彼の演奏する北東伯の音楽は全国的になじみがなかったが、米国ディズニー映画の音楽も手がけた作曲家アリ・バローゾの目に止まり、スター街道を歩むようになる。北東伯の民族衣装に身を包み、アコーディオンを持って伝統音楽「バイオン」を歌う姿は話題となり、「アーザ・ブランカ」(1947年)はじめヒット曲を連発。40〜50年代を代表する人気歌手となり、その後もジルベルト・ジルやミルトン・ナシメントらの著名な歌手たちから尊敬を受けつづけた。
そんなゴンザーガの成功物語と息子で後にサンバ歌手として名を博す若き日のゴンザギーニャとの親子愛を描いた映画、「ゴンザーガ」は25日から公開中。2005年に「フランシスコの兄弟」で当時のブラジル映画の興行新記録を打ち立てたブレーノ・シルヴェイラ監督の作品は、サンパウロ市だけで55の映画館で公開。この数は同日公開の世界的大ヒット作「007」シリーズの最新作の公開館数も上回っている。
また、リオのSESCジナスチコでは舞台「ゴンザゴン—ア・レンダ」を上演中だ。映画の方は「メロドラマ的」との評も目立っているが、「若い頃、伝説の義賊ランピアンの弟子だった」などの謎めいた寓話をもとに娯楽色豊かに作られた演劇は、ゴンザーガ役のマルセロ・ミモーゾの歌唱力と共に好評だ。ゴンザーガが生まれた12月13日にはペルナンブーコ州レシフェで「ルイス・ゴンザーガ博物館」もオープンとなる。